THE ORAL CIGARETTES、自身初の野外主催イベントで奇跡を必然に変える


ブルエン同様、オーラルとは旧知の仲である04 Limited Sazabys。自身でフェスを開催している彼らは、“自分たちが主催するイベントに仲間のバンドを呼ぶ”という行為の重要性を心から理解しているのだろう。そしてこういう時のフォーリミはいつも決まってライブが良い。連続で演奏した冒頭4曲からして気合いが漲りまくっているのがよく伝わってきた。MCではGEN(Ba/Vo)が「俺たちの活動にとってもオーラルは大事な存在でいっぱい刺激をもらいました。同じ時代にオーラルがいてよかったなって思います」とコメント。そのうえでオーラルとは異なる自分たちのバンドの役割を語り、それを全うするように陽性のサウンドを鳴らしきった。



「神戸ART HOUSEから来ました、アルカラです。どうぞよろしく!」と挨拶していたアルカラは、元々山中と彼の兄がファンとして追っかけていたバンドで、オーラル結成時に直接対バンの依頼をした、しかもそれを快く引き受けてくれた、というエピソードがある。オーラルの父にあたる存在だそうだが、息子を抱きしめるのではなく、むしろ「もっと強くなれ」と、崖から突き落とすように強烈なライブを展開。長く続いているバンドなのに新曲が一番カッコいいのがすごい。途中には出演前にオーラルメンバーから貰ったという直筆の手紙を公開。「チクショーチクショー!」と締め括られたその手紙に返答するように、急遽セトリを変更、「チクショー」を演奏する場面も。



アルカラが関西の父ならば、オーラルにとって「東京で居場所を作れずに悩んでた僕たちに居場所をくれた」存在だというSiMは関東の兄のような存在だろうか。とはいえ悪魔が生易しいライブを行うわけでもなく、フィールドには早速巨大なサークルが出現。MCではMAH(Vo)が、山中が朝11時時点から泣いていたことを観客に暴露するなど愛あるイジりをかましつつ、「でも出会った頃と変わってなくて、素直で熱いやつだなと思いましたけど」と語る。一方演奏では、レゲエに根差した、しかしいちジャンルでは括れないほど多展開な楽曲群を観客に呑み込ませ、根こそぎ踊らせてみせる。SiMは今年11月で結成15周年。その腕っぷしの強さと懐の深さに重ねた月日の厚さを見た。



Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE