Perfumeがワールドツアーとコーチェラで感じた「手応え」と16年目の挑戦

Perfume(Courtesy of Universal Music)

日本が世界に誇るテクノ・ポップ・ユニット、Perfume。メジャーデビュー15周年イヤーを記念し、新曲2曲を含む全52曲収録のベスト・アルバム『Perfume The Best “P Cubed”』をリリースする。

2019年2〜4月にかけて、7thアルバム『Future Pop』を携えたアジア・北米ツアーを実施。その合間には米国最大級の野外フェス、コーチェラ2019に出演。ローリングストーンUS版「Coachella 2019: The 16 Best Things We Saw」では、同フェスのベストアクトの一つとして、ヘッドライナーを務めたチャイルディッシュ・ガンビーノ、テーム・インパラ、アリアナ・グランデの3組や、TLCのチリと共演したウィーザー、グラミー賞4冠のケイシー・マスグレイヴス、ビリー・アイリッシュ、フォー・テット、JPEGMAFIA、ロザリアなど世界の実力派ミュージシャンたちと並んで紹介された。

今回、コーチェラおよび海外での活動の話を中心に、かしゆか、あ〜ちゃん、のっちに話を聞いた。

ー今年の上半期のPerfumeの話題は、なんといってもコーチェラに初出演したことでした。

のっち:どんな場なのか全然想像がつかなかったので、Perfumeチームで唯一コーチェラに行ったことのあるライゾマティクスの真鍋大度さんに、事前にいろいろお話をうかがったりしましたね。「音にすごく反応するお客さん」ときいて、そこに向けて最強のセットリストを一緒に練りました。

かしゆか:日本では絶対やらないようなずっと攻めのセットリスト。私たちにとってもかなりハードでした。でも、1週目より2週目、目に見えて人が増えたんです。

あ〜ちゃん:1週目、ラストの曲にいく前にMCをしたら、拙い英語なのに、お客さんがもう爆発するみたいに盛り上がってくれたんですね。そしたら、終わった直後に出たローリングストーンさんが、「見るべきベスト16」に選んでくださった。あれは本当にうれしかったです。いろんな人が「すごいね」と連絡くれたり、向こうでの取材依頼が急に増えたりしましたね。

ーコーチェラ1週目が開催されたのは、2月にスタートした『Perfume WORLD TOUR 4th「FUTURE POP」』が、北米であと2都市を残すのみというタイミングでした。

あ〜ちゃん:はい。日本をずっと離れたまま、それまで5都市を回ってきてたので、実はツアー終盤は、日本とのいろんな違いにヤラれ始めてたんです(苦笑)。「ああ、まだツアー残ってるな。体もつかな」と思ってた。そんなときにコーチェラ1週目があり、150組以上の出演者のなかから「見るべき16」に選ばれたので、あらためてフツフツとたぎるものを感じて、ツアー最後の2都市、サンノゼとロサンゼルスを頑張ることができたんです。

のっち:めちゃくちゃアウェイの1週目を経験したあとだったので、サンノゼもロサンゼルスも、なんか「ホーム」って思えました。海外ツアーを終えたあとの日本でのライブを「ホーム」と思えるのと同じような感覚。自分の中でのその変化はすごくうれしかったですね。

ーそして迎えた2週目、どうでしたか?

あ〜ちゃん:ローリングストーンさんの記事のおかげもあって、お客さんがが本当に増えたんです。私たち自身にも火がついて、1週目よりさらに攻めのセットリストで臨みました。とはいえ、コーチェラはテント仕様の素舞台なので、機材的に持っていけるものが限られました。だから、日本で見せるパフォーマンスと比べたらアナログなところも多い。砂漠地帯だから舞台セットへの風の影響もすごいし。

かしゆか:現地の会場ではリハーサルができないので、なにもかもが出てみなきゃわからないんです。本当にハプニングまみれ(苦笑)。でも、振り返ってみると、初めて日本のフェスに出たときも、初めての海外ツアーでも、カンヌでもSXSWでも、同じようなことを経験してきてるんですよ。得体の知れないものに当たり前のように挑んでいく感覚っていうのかな。それはもう身震いするような瞬間なんですけど、そういうときにこそ、3人ともとてつもない強さを発揮するんです(笑)。

あ〜ちゃん:いつもとは違う環境でうまくいくかどうかもわからないけど、自分たちがカッコいいと思ってるものを、ギリギリまで頑張って見せるんだ、という強い思いですよね。そのパッションが、コーチェラではたぶんお客さんに伝わったんだと思います。その2週目が生配信されて、日本のファンの方たちにも見てもらえました。ありがたかったです。平成元年生まれの私を含めたPerfumeが、平成の終わりにアメリカで最大のチャレンジをして令和を迎える。そんな偶然を誇らしく思いました。

ーコーチェラの雰囲気という意味で印象に残っていることはありますか?

のっち:ライブが終わったあと、バックステージに居た現地の人達に、めちゃくちゃフランクに声をかけられましたね。「君たちのライブ、最高だったよ!」って。

あ〜ちゃん:そうそう。「僕の人生のベストアクト。泣いてしまったよ。ありがとう。写真撮ろう!」、「OK!」といった慌ただしいやりとりのあと、「今の人、どなたなのかな?」と思ってたら、コーチェラの大きなステージに立ってるアーティストさんでビックリ、なんてことも。うれしさがあとでこみ上げました。

ーPerfumeの公式インスタにはジェームズ・コーデンとの写真もアップされてましたね。

かしゆか:はい。日本ではやってこなかったそういうことにも、柔軟に取り組んでみようと思ったんです。SNSで発信すると瞬時に反応が返ってきて次につながることがわかったし、自分たちもそれが徐々に楽しくなっていきました。

のっち:今回のツアーとコーチェラの宣伝はSNS主体だったんです。これまでももちろん、「日本のカッコいい」を知ってほしくて海外ツアーを行ってたんですけど、それだけでは伝わりきれないものがあるなと正直感じてた。そこが、SNSを使うことで一気に開けた感覚がありました。この手応えなら、まだまだイケるというふうにも思えましたね。日本では日本独自のやり方で活動しているので、やっぱり海外では海外に合ったやり方をすることが大事なんだなと。

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