カート・コバーンの娘、アパレルコレクション『Kurt Was Here』を始動

時折あちらこちらで短いインタビューに応じる以外、フランシス・ビーンは父の死後、沈黙を守りつづけてきた。そんな彼女がもととなる素材のセレクション以外に本コレクションにどの程度関わっているかは不明だ。27歳のフランシス・ビーンは、今回のプロジェクトに関するインタビューを断り、SNSでも無言を貫いている(Instagramは、彼女自身の写真と短いカバーソングであふれている一方、Twitterには2018年3月から何も投稿されていない)。それでも、フランシス・ビーンはニルヴァーナの貴重なベストアルバム『Silver: The Best of the Box』のカバーのアートワークをセレクトした、と報じられている。それならば、彼女が本コレクションで使用するアートワークを自らセレクトした、という情報は信憑性が高い。

コバーンをモチーフにしたアパレルコレクションを発売することのあざとさを疑問視する人がいるなか、企業がコバーンの不動の人気にあやかろうとしたのは今回が初めてではない。米カジュアルファッションブランドのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズからFOREVER 21にいたるまで、あらゆるブランドがコバーンにインスパイアされたグッズを発売しつづけているし、フランスのストリートウェアブランドのヴェトモンにいたっては、コバーンがローリングストーン誌のかの有名な1992年4月号の表紙で着ていた「商業誌はマジで最悪だ!」を模したTシャツを550ドルで販売している。だが、Live Nation Merchandiseの代表者は、コバーンの遺産管理者が直接関わっているだけでなく、コバーンの独創性と正統性を称えるのにふさわしいタイミングだったこともあり、本コレクションは他のものとは一線を画す、と主張している。

「現代の社会的および政治的な風潮のなか、アートの重要性はますます高まっていると確信しています」と同社の代表はローリングストーン誌のインタビューにメールで応じた。「カートの作品による本コレクションを他のアーティスト、コレクター、ファンの皆さまと共有するのにふさわしい時が来たと思いました。そうすることで皆さまにカートのレガシーを新しい方法で体験してもらい、カートの不滅の影響力をともに称えられると思ったのです」。

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Courtesy Barneys

『Kurt Was Here』コレクションは、コバーン没後25周年に続く形で発売された。1994年4月、米ワシントン州シアトルの自宅でコバーンは遺体となって発見されたのだ。警察によると、死因は銃で頭を撃ち抜いたことによる自殺だった。本コレクションの一部は、ティーンと若者の自殺防止のために活動している非営利団体Jed Foundationに寄付される。

Translated by Shoko Natori

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