ライヴ・エイド出演の立役者が語る「クイーン」バンドの一員として共に歩んだ35年間

ーあなたは1992年に開催されたフレディーのトリビュートコンサートに深く関わっていますよね。

そうだね。企画から関わったから、書類にはその他の提唱者と一緒に僕の名前も載ってるはずだよ。僕らは誰にどの曲を歌ってもらうかを考えて、様々なアーティストをリストアップした。全てが実現したわけじゃないけど、大半は僕らの希望通りになったよ。飛行機1台分くらいの大きさがある北ロンドンのリハーサルスペースで目にした光景は忘れられないね。階下にはデヴィッド・ボウイ、アニー・レノックス、エルトン・ジョン、それにロバート・プラントがいて、まるで病院の待合室で自分の名前が呼ばれるのを待ってるみたいだった。笑えるくらい非現実的な光景だったよ。



ーそのコンサートで、あなたはデヴィッド・ボウイとミック・ロンソンと素晴らしいコラボレーションを披露しました。あのショーでは、他にも歴史的瞬間が数多く生まれました。

あのコンサートは誇るに値するね。大成功を収めたし、関われて光栄だったよ。ライヴ・エイドみたいなところもあったけど、出演者たちはライバル心をむき出しにするんじゃなくて、みんなお互いをリスペクトしてた。それはフレディーの追悼式の時も同じだったよ。みんなお互いに敬意を払うことを忘れなかった。

ーフレディー抜きで活動を続けることは困難であり、事実上バンドの終焉を迎えて複雑な気持ちだったと思います。

みんなそう感じてたよ。それに加えて、ロジャーはソロアルバムを出そうとしてたし、ブライアンもそうだった。バンドは終わった、これからはそれぞれソロでやっていくっていうのが共通認識になってた。2004年まではね。今思えば長かったね。

ーあなたは90年代に行われたブライアン・メイのツアーにも同行していますが、いかがでしたか?クイーンでの経験を考えれば、物足りなく感じていたのではと思うのですが。

そう思われるかもしれないけど、僕はクイーン以外でも活動してたからね。スタジオミュージシャンだった僕は、他にもいろんな活動をしてた。ブライアン・メイのショーの規模は大きくはなかったけど、やりがいは十分にあったよ。環境が少し変わったってだけで、素晴らしい曲もプレイできた。新しい仲間もできたし、ブライアンがフロントマンを務めるバンドでのツアーは楽しかったよ。1994年には彼のバンドのメンバーだったCozy Powell、Neil Miurray、Jamie Jonesに声をかけて、僕は自身のバンド(Spike’s All Stars)を組んだ。あれから25年経つけど、今でも活動を続けてるんだ。9月にはバンドの25周年記念コンサートが控えていて、12日には僕の地元のポーツマスで、14日にはロンドンのShepherd’s Bush Empireで開催されるよ。コンサートの利益は全額、Freddie Mercury’s Phoenix Trust for HIV/Aidsに寄付されるんだ。



ーあなたは数多くのエピソードをお持ちですが、自伝の出版を考えたことはありますか?


このトピックが持ち上がるとは思わなかったな。いろんなところでこういうエピソードを披露してきたけど、「本を出すべきだ!」って言われることは多いよ。基本的に僕は、ハンモックに横たわって延々とマティーニを飲み続けてるようなのんびり屋なんだ。でも僕も歳をとったし(現在67歳)、そのうちに記憶がぼんやりし始めるかもしれないから、少し前からメモを取り始めたんだ。何かしらのエピソードを披露したり思い出すたびに、ノートに書き記すようにしてるんだよ。あるエピソードが別の話を5つくらい連想させて、それがさらに分岐していくから大変だけどね。でも取っ掛かりはできてて、2020年の秋頃までには完成させたいと思ってる。SASのツアーが終わったら、ヨシュア・ツリーの別荘に缶詰になって作業するつもりだよ。僕の母さんのブレンダがいつも言ってたんだ、「やると決めたらやる」ってね。でもまずいな、自分で締め切りを設けちゃったよ。僕は締め切りに追われるのが大嫌いなんだ!

ージョン・ディーコンは90年代後半にシーンから姿を消しました。最近彼と話しましたか?

彼とはもう何年も会ってないよ。彼はもうすっかり隠者だね。最後に会ったのは2002年で、ロンドンでの『ウィー・ウィル・ロック・ユー』のオープニング公演の時だよ。

ー彼のことを懐かしんだりしますか?

そうだね。彼とはウマが合ったし、同い年なんだ。僕の方が数ヶ月だけ若いけどね。最初のツアーでは、いつも彼とつるんでたよ。音楽の趣味も似てた。彼もソウルが好きで、お互いに意気投合したんだ。彼は出歩くのが好きで、初めてのワールドツアーで観光に繰り出す僕に付き合ってくれた。彼に会いたくなる時もあるけど、彼はああいう道を自分で選んだんだよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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