スティーヴン・キングが語った、トランプの「悪夢」と『ストレンジャー・シングス』

スティーヴン・キングが新作ホラー小説『The Institute』、ドナルド・トランプの「悪夢」、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が気に入っている理由を語ってくれた。Krista Schlueter/The New York Times/Redux


透視能力を持つ子供たちが影の軍団と戦う小説には、間違いなく『ストレンジャー・シングス 未知の世界』との類似点がある。とは言え、そもそも、この『ストレンジャー・シングス〜』自体がキング作品から多大な影響を受けたものである。「(『ストレンジャー・シングス〜』が)大好きなんだ。でもあの話は『IT/イット』の恩恵を受けているよね。あれも、一人ひとりは弱くて頼りない子供が力を合わせて、非常に強力な何かを作り上げる物語だから」と、キングが説明した。

『ストレンジャー・シングス〜』が登場する遥か昔、『キャリー』、『シャイニング』、『ファイアスターター』など、それこそ『IT/イット』ですら、キングの作品には、超自然的な力を持った子供たちが物語の中心となって登場していた。「剛速球やスライダーが得意のピッチャーのように、かつて自分に役立ったものに戻るってことだよ。私は子供たちを魔法のような存在だと捉えている。青年の頃は自分の子供たちからインスピレーションを得ることができた。今は年老いてしまったから、孫たちからインスピレーションをもらっている。彼らのやっていること、彼らが触れ合う姿を観察するんだよ」と、キングが明かした。

新作『The Institute』は、『ザ・スタンド』(CBSのネット動画配信会社CBS All Access)、『The Outsider(原題)』(HBO)、『Lisey’s Story(原題)』(Apple TV+、書籍邦題『リーシーの物語』)と、現在開発途中の映画7作品の仲間入りを果たす、ハリウッドで映像化される次回作になる可能性が高い。キングはこれらすべての作品の脚本化の許可を出している。彼は「脚本にするにはそれ相当の作業が必要だ。キャラクターの子供の頃の記憶がフラッシュバックするシーンに19ページも割けないから。私は、出来るだけ長い時間、物語のアクセルをべた踏みする勢いを保ちたいんだよ」と述べた。

キングが『シャイニング』の続編として書いた2013年の小説『ドクター・スリープ』の映画版が、今年の11月8日から公開される予定だ(日本公開は11月29日)。この映画では主演のユアン・マクレガーが成人したダニー・トーランスを演じている。1980年のスタンリー・キューブリックが監督した『シャイニング』は、原作の内容を大きく書き換えたとして、キングはこれまでずっと毛嫌いしてきたが、『ドクター・スリープ』の映画製作者にキューブリック版の要素を使う許可を与えたと言う。「キューブリックのあの映画は冷酷すぎる点が問題だった。今回ドクター・スリープの脚本が大丈夫だった理由は、キューブリックの要素をいくつか拾って、それを温めてくれたからだよ」とキング。

キングの次の作品『If It Bleeds(原題)』は2020年に出版予定となっている。これはキングが最近書き続けているホリー・ギブニーの探偵シリーズの続き物だ。「もう少し整えないといけないのだが、基本的にはもう書き上げた」とキングが言う。すでにその次の作品の構想も考えていて(もちろんまだ詳細は一切教えてくれないが)、自分の作品に人々が唐突に興味を抱いてくれたことが、創作活動を続ける大きなモチベーションとなっているらしい。「今年71歳だし、私の年齢の作家の多くはもう忘れ去られている。でも私は人生の黄昏時期に大きな成功を手に入れた。本当に満足しているよ」とキング。

そんな彼だから、頭の中に引退の文字などないのは当然だろう。キングは「神さまが決めることだ。私じゃない。でも、その時がくればわかると思う。机の上に崩れ落ちた瞬間か、アイデアが枯渇した瞬間だろうね。自分を辱めることだけは絶対にしたくない。だからいい仕事が続けられると思える限りは、ペンを置いた自分の姿は想像できないよ」と教えてくれた。

Translated by Miki Nakayama

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