清春が考える、はみ出し者の美学「フェスじゃなくワンマンで勝負する」

最近のソロ曲は情念を意識してる

―清春さんが明菜さんやジュリーをカバーするのは想定内ですが、『Covers』収録曲で言えば、いきものがかりの「SAKURA」はかなり意外なカバーでした。

想定外ですね、僕も。今回のアルバム収録曲で言えば、「傘がない」(井上陽水)、「想い出まくら」(小坂恭子)、「アザミ嬢のララバイ」(中島みゆき)、「悲しみジョニー」(UA)、「月」(桑田佳祐)はライブで歌ったことあるんですが、それ以外は初めて歌う曲で、ディレクターをはじめ皆さんが提案してくれたものです。

―全11曲。歌ってみて世界観が一番近いと感じた歌、気持ち的に入り込めた歌はどれですか?

自分が好きだなって思うのは小坂恭子さんの「想い出まくら」です。仕上がりも含めて。今回のカバーの中では「傘がない」の次に古い曲。75年の曲なんだけど、情念の世界なんですよ。で、最近の僕のソロの曲って、その情念を意識してるんで。



―その情念というのをもう少し具体的に言葉にすると?

この「想い出まくら」で言えば、小坂さん自身が作詞・作曲をしていて、当時の時代を反映していて、女は女として生きるしかない時代の空気が描かれてる。つまり、女性が時代をリードするとはまだ誰もが思ってない時代で、この時代って、圧倒的に男の有名な人がいるっていう構造で、レコード大賞とかを獲るのは男が多くて。女性が獲ると、わぁすごい、っていう時代だった。そういう設定を踏まえてるんですよ、歌が。

―なるほど。それで言うと、今は欧米のフェスではKEY CHANGEという出演アーティストの男女比を半々にするというムーブメントが主流になりつつある時代ですからね。ただし、日本だと今もロックフェスは男性アーティストが多いのが現状ですよね。

特にロックの場合はそうですね。でも歌手で言うと、今って女性アーティストは有能だと思うな。今“アコースティック女子”って言葉があって、うちの娘とかもすごく聴いてますけど、バンドに関してはまだ男なんですよね。女性バンドも結構いるんだけど、よりパーソナルが大事になってくるものに関しては、昭和から平成、更に令和になって、一人のパーソナルを持つのは女子がもはや強いんですよ。男は負けてる。だって、男性のソロシンガーって今いますか?いるけど、こんなことできちゃうんだっていうのはいるんですよ、テクニカルに凄い人はね。でも普通にギターを弾いて歌うってなると、もう女の子の方が多いし、シンプルな強さは女子の方が強いんですよ。たくさん音楽を知っているのは男の方が多いんですけど、よりシンプルなところは女子が強いのかなって思いますよね。

―確かに。

男って女性の声を気にしちゃってるんです。男って着るものもそうだけど、モテ服じゃないですか? 女子の方が着ている服が個性的。音楽と服は違うけど、髪型とかも女子がどんどんチャレンジしていくのは、綺麗になるためなんですよ。綺麗になるため可愛くなるためカッコよくなるために、努力する。男は、特に若い男子の大半は恥ずかしくないために生きているから。音楽で言うと歌い方もそうなっちゃうんすよ。

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