タイ国王一世紀ぶりに一夫多妻制を復活か、ネットで話題の「国王夫人」画像が公開

今週タイ王国のwebサイトに掲載された、ヘルメットのストラップを調節するシリーナート・ウォンワチラーパック国王夫人の写真 ROYAL HOUSEHOLD BUREAU HANDOUT/EPA-EFE/Shutterstock

タイ国王が今週、34歳の女性(陸軍高官)を正式な国王夫人に任命し、画像がインターネットで解禁され物議を醸している。タイ王室として、王妃とは別の側室ということなのか?一世紀ぶりに一夫多妻制を導入したということか? タイの歴史に詳しい博士によれば「セックスが目的ではありません。堕落でもありません」と、説明する。

タイ王室庁は今週初め、60枚を超えるマハ・ワチラロンコン・ボディンドラデバヤワランクン国王と国王夫人の写真を同webサイトに掲載した。インターネットは文字通りパンク状態――写真へのアクセスがあまりにも殺到したため、月曜日にサイトがクラッシュした。

だが、標準的な王室のポートレート写真ではない。王族によくある公式写真に加え、一風変わった画像も多々含まれていた。そのうちのひとつは国王夫人である、シリーナート・ウォンワチラーパック少将が、迷彩柄のスポーツブラをつけて戦闘機のコクピットに座る写真。他にも、軍服姿で犬を抱いている写真などがあった。

Webサイトはシリーナート国王夫人の詳しい経歴も公開したが(タイ語のみ)、今回の件で数々の疑問が持ち上がった。シリーナート国王夫人は何者なのか? タイ王室での役割は? スポーツブラで軍戦闘機に乗り込むのは認められているのか? そして何よりも、一体全体国王夫人とは何ぞや? なぜタイでは、100年近くも国王夫人が存在しなかったのか?

まずは背景知識を少々。マハ・ワチラロンコン国王には現在、王妃と国王夫人がそれぞれ1人ずついる。2019年5月戴冠式の数日前に、国王はスティダー・ワチラロンコン・ナ・アユタヤ王妃と結婚した。スティダー王妃と結婚する前に、国王は3回結婚、そして3回離婚している。そして2か月後、マハ・ワチラロンコン国王はシリーナート少将を国王夫人に任命した。そして新たに公開された画像と経歴のおかげで、世間は少しばかり彼女について知ることができた。

王室の公式経歴書によると、シリーナート少将は1985年1月26日、タイ北部のナーン県で生まれた。陸軍看護学校を2008年に卒業した後、ジャングルでの戦闘や夜間パラシュート降下などの陸軍訓練を修了。自家用操縦士の訓練も受けた。

“国王夫人”という称号は、場合によっては当代君主の配偶者を意味する。だがコーネル大学で歴史学とアジア研究を教えるタマラ・ロース博士によれば、タイ王室においては、王が複数の王妃と側室を抱えていた旧体制におけるある種の配偶者を指す。

Translated by Akiko Kato

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