シド、インタビュー「16年で積み上げてきたものを削ぎ落とし、また組み立てている」

―そうなるとバンドとしての基準の音をどこに定めるかって難しくないですか? 海外では海外の作れる音があって、日本では日本での作れる音があるわけじゃないですか。今のシドの一番軸となるサウンドってどういう音なんでしょう?

ゆうや:もしかしたら昔は曲によって、サウンドをがっつりと使い分けてはいなかったかもしれないです。今は楽曲ごとにすごくマッチする音をセレクトしていると思うんですよね。各々の趣味嗜好だけで音を決めなくなるとジャンル感も定まるし、余計な情報がない。すっきりとしたアレンジにもなってるので、それが際立って、一つのジャンルを作り出せるようになってるのかなっていう気はしていますね。

明希:機材だけじゃなくて、例えばベースならピッキングや、そのタッチだったり、手元の関係がしっかり鳴らせてないと、どこで鳴らしてもいい音にはならない。いろんなレコーディングやライブをやって気づいたんですけど、そこでやっぱり見直したのは例えばピックの種類とか材質、その楽器に対しての鳴らし方。電圧ももちろん関係してるんですけど、そもそも大元のサウンドのこだわりで言えば、自分と楽器っていう一番ミニマルな関係性がやっぱり重要なのかなって思います。

―アルバム曲の方に話を移したいと思います。1曲目の「承認欲求」なんですが、これをアルバムタイトルに持ってきた理由っていうのは?




マオ:特に若い方たちの中心にあるSNSについては、いつか書きたいなと思っていて。元々SNS世代じゃないけど、今はSNSを使っている俺たち世代が書ける歌詞っていうものを今書いてみたいと思って。今の時代に、しっかりシドの『承認欲求』ってアルバムの曲たちを刻みたいという思いからタイトルにしました。将来振り返ったときに、あの時代の作品だよね、っていうのがわかるようなもの。アルバム10枚目っていう区切りもあるし、ここで一回時代に刻みたいなっていうのはありましたね。

―「承認欲求」で愛して欲しいけど見て欲しくもないみたいな矛盾したところがあって、最後10曲目の「君色の朝」になると「愛した人たちの全てから愛されることを望んでみた」っていう歌詞がすごい印象的で。アルバム全体を通して、様々な愛情を経験して、最終的に再び愛されることを望む結果にたどり着くのかなって思いました。途中の曲順も、皆さんそれぞれ思いがあって決められたんじゃないかなって思うんですが、いかがでしょうか?

マオ:まさにその通りです。例えば途中に明るめの「ポジティブの魔法」があったり、「承認欲求」からの流れで「Trick」っていうちょっとだけダークな承認欲求の方の世界観も入ってたり。最後には、「君色の朝」で、少しだけ希望の光が見えたところで終わっていくアルバムにしたくて。ツアーも含めて、最後は希望の光が欲しいなっていうのはずっとあったんですよね。だから、自然とこの曲順になりました。


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