ReoNaの魂は音楽で救われる「今でも私の中に開き続けてる穴がある」

受け手から送り手になったきっかけ

ー一方で、アニソンはまた違う歌い方だと思います。邦楽と洋楽の歌い方があるから、一方のいいところを活かせるという感覚はあるんでしょうか?

ReoNa:使い分けている意識はないんです。言葉一つ一つをどうにか届けようと目一杯歌ったものを後で聴き返したときに、「あっこれは英語っぽいな、まっすぐ持てる限りの力で歌ってるな」と気づくことが多いです。意図的に英語っぽくとかは、使い分けてないかもしれないです。でもそれが地になってきているのであれば、聴いてきた意味があるなと思います。

ーそういう影響を受けている一方で、自分が辛い時に支えてくれたアニソンもありますよね。アニソンはReoNaさんにどういう影響を与えたんでしょう?

ReoNa:自分が辛いことを打ち明けたとしても、苦しみを共感してくれる人が周りにいなくて。それで自分の殻に閉じこもっていた時、身近な人の死や大切な人がいなくなる悲しみとかに頑張って耐えようよ! みたいな表現よりも、そういう苦しみもあるんだよっていうことをアニメが表してくれてるような気がしていて。アニメやその主題歌が、周りが自分に共感してくれないものを代わりに形にしてくれています。

ーアニメや映画の作品って、観てスカッとしたい人もいれば、世界観や余韻を味わいたいっていう人もいると思うんですけど、ReoNaさんは作品をどう鑑賞していたんでしょう?

ReoNa:どっちかというとスカッとしたかったんですかね。物語の中で、状況を打開できる人に共感するとするじゃないですか? 現実の自分は何も変わってないんですけど、同じようにもがいて苦しんでいたりする姿を見て癒されたり、もう少し頑張ってみようとか考えていました。でも、明日学校行こうという感じではなかったです。自分では逃げることしかできなかったので、あくまで逃避先でした。

ーアニメや漫画、音楽って逃避先でもあるべきだと思うんですけど、自分の青春に稲妻が走って将来の道まで決めちゃうような作品に出会ったことはありますか?

ReoNa:このアニメを見たから歌手になろう、と思ったことはないです。でも、唯一自分が背伸びせず好きでい続けられた物が音楽とアニメでした。これからはアニメと音楽の2つが自分の芯になればいいな、自分の人生や居場所が作れたらいいなと思ったのが始まりでした。



ーReoNaさんは歌手として、受け手から送り手になったわけじゃないですか。自分も人前で何かを届けたいということを意識したのはいつ頃からなんでしょう?

ReoNa:自分を表現したり何かを発信するっていうのは、どこか別の世界の話のように感じていたんですけど、高校生の頃、知人にインディーズでライブに出ている子がいて。その子に「ライブ出れるよ」って言われて、お客さんも数人のライブハウスでアニソンカバーをしたんです。それでステージに立つっていうことのハードルが一つ超えられて。カバーとはいえ、何も持っていなくても好きでいれば人前に立てるんだって分かって、そこから人前に立つことを意識するようになりました。でも、身内や近しい人にお歌を歌いたいって話をしても「そんな甘くない、学校にも行けないのにそんなことできるわけないじゃん」って否定的な意見が多くて。とにかく自分がそこに存在していい確証が欲しくて、SNSなど使える手段をとにかく使ってお客さんを呼んで、自分の居場所を作り始めました。自分が好きだったもの、言葉を借りてきたものを歌って、誰かにいいねって言ってほしかった。闇雲に歌い続けていました。

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