アユニ・DがPEDROで手に入れた「オルタナティヴ」な価値観

アユニ・D(Photo by OGATA)



「中学生の頃は、歳を取るのが嫌すぎて泣いていたんですけど、今はそこに抵抗はない」

─実際、アユニさんはPEDROをはじめてから、別人かと思うくらいしゃべるようになりましたよね。

アユニ:もともと全然しゃべれなかったし、考え方も暗くて、自分が異常だと思っていたんですけど、最近はそれがなくなりました。今まで猫をかぶったり、枠にはまらなきゃいけないと思っていたんです。BiSHはメンバーが6人いるので、全員が同じ方向を向かなきゃいけないんじゃないかと難しく考えることが多かった。この間のBiSHの「LiFE is COMEDY TOUR」でモモカン(モモコグミカンパニー)が、「6人いたらそれぞれ向いている方向は別に違くてもいい、違うのが当たり前だ」ってMCで言っていて。それがすごく自分の中で響いたんです。私は団体行動も一致団結みたいなものもすごく苦手だったので、違う方向を見ているというのが当たり前なんだということに最近気づかされたんです。

─「本当本気」もそうですけど、アユニさんは年齢を歌詞に入れることが多いじゃないですか? 大人になることに対して、どういう気持ちでいるんでしょう?

アユニ:小さい頃は、大人になるときは、すべてが大人になると思っていたんですけど、心とか感覚はあまり変わらないまま歳を取るんだなってことに気がついて。所謂青春のゾンビというか、30代の人でも「20代の頃と中身は全然変わっていないよ」って言う人、よくいるじゃないですか。その感覚がわかってきた。中学生の頃は、歳を取るのが嫌すぎて泣いていたんですけど、今はそこに抵抗はないです。

─中学のときは歳を取るのが怖くて泣いていたんですか(笑)?

アユニ:ずっと15歳でいたかったんです。あと、白人の子どもに産まれたかった。その2つのことで1年間ぐらい悩んで泣いていて。きっと自分が嫌だったんでしょうね。他の何かになりたかったのかもしれない。

─同世代の子からすると、アユニさんに憧れている子も多いと思います。そういうことに対してはアユニさんはどう思いますか?

アユニ:自分ではそんなこと全然ないと思っていて。たぶんないものねだりだし、今の自分が1番自分に合っているんですけど、普通の女の子がうらやましいなと思うこともあります。花火をして遊んだり、好きなアーティストのライヴを観に遠征したり、そういうことがうらやましいなと思う部分もあります。

─アユニさんはかっこいい自分を見せていきたい? あまり見られ方は気にしていない? そのあたりはどういう気持ちなんでしょう。

アユニ:憧れる存在じゃないよって思います。PEDROを始めてから、「アユニに憧れてベースを始めました」って、若い子が特に言ってくださって。こんな私なんかに憧れて、ベースも始めてすごいなと思うし、頑張ってほしいし、楽しんでくれという気持ちはあります。私は特にかっこつけて生きてこなかったし、素のままで世間に出てきてしまったんですけど、それを好きって言ってくれる人がいるのは嬉しいですね。


Photo by OGATA

─1stアルバムのタイトル『THUMB SUCKER』は、どのような意味を込めてつけたんでしょう。

アユニ:日本語訳すると「親指しゃぶり」なんですけど、直感でつけました。『zoozoosea』は、自分のことしか考えないで媚びを売らず書いたミニ・アルバムで、読んだら嫌な気持ちになる人もいたかもしれないんですけど、今回はわりと人に甘えた精神で書いているので、サムサッカーというのは全体的なテーマに合っているのかなと。一時期、「いいね」という意味のサムズアップという英単語にハマっていて、何を言われてもサムズアップって答えていたんですよ。そのとき、友人がサムサッカーって言い返してきて、何それと思って調べたら、今まで自分が知らなかった単語で。覚えてたての日本語をいっぱい使う人みたいな感覚でつけた部分もあります(笑)。

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