スティング、アマゾン森林火災に関する政府の対応に激怒「全人類が報いを受けることになる」

以下にスティングの声明文の全文を記す:

伝説によると、ローマ皇帝ネロは「ローマが炎に包まれるなか、竪琴を奏でていた」そうだ。これほど愚かな男がミュージシャンだったという根拠のない話には、憤りを感じずにはいられないが、私がこの文章をしたためているあいだも続く災害の悲劇的な側面に、私をはじめとするすべての人間が心を痛めている」

前代未聞のレベルでアマゾニアが燃えている。そのレベルは昨年から比較すると80%上がり、森林破壊もさらに39%進行した。そしてたったいま、世界はこの事実に気づいた。

国家主義的な政策を引き合いに出し、地球温暖化とこれに付随するものをでっちあげと主張する大衆主義者のリーダーたちは、ただ突っ立って何もしない人よりも罪深い。これは、グローバルレベルの犯罪的怠慢だ。

全人類が同じ空気を吸っているこの世界において、時代遅れの国家主義的思想の居場所などない。今回の意図的な怠慢に対して全人類が報いを受けることになる。

アマゾニアを「地球の肺」と呼ぶ表現は、必ずしも正確ではないかもしれない。だが、人類が生存できるわずかな環境がますます縮小している地球の健康を支える連鎖のなかで、アマゾニアがかけがえのない、大切な存在であることは伝わる。こんなふうに燃えるままにしてはいけない。

鎮火できないほど火災が続くレベルに私たちは刻一刻と向かっている。

私たちは、アマゾニアの搾取を推し進めた政策を変えるよう、ブラジル政府に要求する。国家主義的な物言いは、地球でもっとも大切な生きた研究室であるアマゾニア火災の原因をつくった。数え切れないほどの種が、迫り来る絶滅の危機にさらされている。

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、「私はアマゾニアの先住民の味方ではない」と公然と主張し、締結された協定を放棄し、新たな領土を開拓しながらも、これらを阻むブラジルの科学および人権保護組織の解体を進めている。大統領はG7加盟国を偽善者と非難し、「かつては自分たちだって自国の森林を伐採したじゃないか」と言った。とはいえ、過去の過ちから学ばない理由にはならない。

ブラジルが森林を破壊しなくてもいいよう、私たちは協力して持続可能な経済モデルを打ち立てなければならない。

Rainforest Foundation Fundは、30年にわたってブラジルだけでなく、南アメリカ中の国々で暮らすアマゾニアの先住民たちとともに土地と権利の保護に取り組んできた。差し迫った危機に直面しているのはこうした人々の世界であり、人々の生活は守られなければならない。彼らの生存を保障するため、いまだかつてないほどのサポートが必要だ。

当然ながら、これらのことを理解し、受け入れるのはボルソナロ氏の啓発された利己心にかかっている。手遅れになる前に、ボルソナロ氏が政策を再考し、行いと扇動的な物言いを改めることを強く願う。竪琴なんて弾いている場合じゃない。世界が燃えているんだ。


Translated by Shoko Natori

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