映画『ロケットマン』監督が語る製作秘話、Your Song誕生の瞬間は本当に「特別」

映画『ロケットマン』監督を務めたデクスター・フレッチャーPhoto by Takanori Kuroda

「史上最も売れたアーティスト」の1人として、今も君臨し続けるシンガー・ソングライター、エルトン・ジョンの波乱万丈な半生を描いた映画『ロケットマン』が遂に日本で公開された。ローリングストーンジャパンは、監督を務めたデクスター・フレッチャーにインタビューを敢行。制作裏話や作品の魅力について聞いた。

父親の愛情に恵まれない幼少期を過ごしながらも、ピアノと出会い才能を開花させたエルトンは、作詞家バーニー・トービンとの出会いによって次々とヒットソングを生み出していく。しかし、過度のドラッグやアルコール依存により更生施設での生活を余儀なくされるなど、栄光と挫折を繰り返してきた。本作は、そんな彼のライフストーリーを、史実に基づいたドキュメンタリー方式ではなく「虚構をも織り交ぜたミュージカル仕立ての作品」に仕立て上げたことにより、エルトン自身の姿をより鮮明に浮き彫りにしているのが特徴だ。

ド派手な衣装に身を包みながらも、常に孤独と戦い続けてきたエルトン。演じるのは、『キングスマン』シリーズやミュージカル・アニメ映画『SING/シング』などで一躍脚光を浴びたタロン・エガートン。本作において自ら製作総指揮を務めたエルトン・ジョン本人から、「僕を演じられるのは彼しかいない」とお墨付きをもらうだけあって、その歌唱力は圧巻。中でも白眉は名曲「Your Song」が生まれるシーンだ。自宅リビングのピアノをつまびきながら、徐々にメロディのカケラを紡ぎ上げていく様子は「音楽の奇跡」を目の当たりにしているようで鳥肌が止まらなくなる。タロンの表現力と歌唱力は言うに及ばず、ジョージ・マーティンの息子であり、これまでビートルズの膨大なデモテープ(名曲のカケラ)と向き合ってきたジャイルズ・マーティンが音楽監督を務めているだけある。

今回ローリングストーンジャパンでは、監督を務めたデクスター・フレッチャーにインタビューを敢行。『ダウンタウン物語』や『エレファント・マン』に子役として出演経験のある彼は、成人後も『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『キック・アス』、『アニー・イン・ザ・ターミナル』などに出演。クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』では撮影後のプリプロダクションを務めている人物である。20分と限られた時間だったが、エルトンへの思いやタロンの印象、くだんの名シーンが生まれた背景などたっぷりと語ってくれた。

──今回、エルトン・ジョンの伝記的な映画でメガホンを取ることになった経緯を教えてください。

映画のプロデューサーのマシュー・ヴォーンが以前、『イーグル・ジャンプ』という僕の監督作品の製作を担当していてね。その時に主演を務めていたのもタロン・エガートンだったのだけど。で、マシューが「またタロンを主人公にして、エルトン・ジョンの伝記映画をやろうと思っている。ついてはぜひ君に監督をしてもらいたいのだけど、どうかな?」って言われてさ、断る理由なんかないだろう?(笑) 二つ返事で引き受けた。その時点で既に脚本も仕上がっていたので、そこに自分なりのアイデアを入れるためにマシューと何度も打ち合わせて。そのあとは急ピッチで進んでいったね。


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