『劇場版おっさんずラブ』監督が伝えたかった「人間愛」

監督が影響を受けた映像作家

─ところで、監督自身はどんな映像作家に影響を受けましたか?

映像だと僕はトニー・スコットにめちゃくちゃ影響を受けていると思います。当然、『トップガン』とかから観ていたのですけど、やっぱり『ドミノ』以降、『デジャヴ』もそうですが、彼ならではの映像装飾を一つ確立したじゃないですか。そこにめちゃめちゃ触発されたし、影響も受けていると思います。映像面での影響は、やはり海外の作品からが大きいかもしれないですね。

─芝居の撮り方に関してはどうですか?

僕は、いわゆるドラマ畑や映画畑をまっすぐ歩いてきた人間ではないんです。テレビでバラエティ番組を作っていたので、そこでの経験はとても勉強になりましたね。最初にお話しした、「嘘をつかない」「生っぽく撮る」ということを意識したのは、バラエティを手がけたことがとても大きい。例えば、怒りを表現する芝居で机とかを「ドン!」って叩くの、嘘っぽいじゃないですか(笑)。「クールなキャラクターはこんな感じで、だったら怒るときはこんな感じやろ」みたいに作られた表現は、嘘くさく感じてしまうんですよ。そんなテンプレではなく、その人自身の感情表現に落とし込みたいんです。

例えば僕が思うクールと、ライターさんが思うクールは違うわけで。クールを演じたときの所作にしても、全然違うものになりますよね。そんなふうに、まず人がいて、そこから演じ方を考えるという演出の仕方はバラエティがベースにあるのかなと。『おっさんずラブ』でも、キャラクターに役者をハメるんじゃなくて、その役者が生き生きするようにキャラを寄せていくというか。そのための演出を現場では一生懸命考えていましたね。

─だからこそ、役者さんの魅力が存分に引き出されたドラマになったんでしょうね。では最後に、この作品を通して監督が訴えたいことを改めて聞かせてください。

やはり「人間愛」です。人と人が出会うと、必ずそこには葛藤が生まれるわけじゃないですか。それを乗り越えていくのは「人間愛」だと思うんですよね。「人間愛」について、どれだけ深く突き詰められるかが『おっさんずラブ』のテーマなのだと思います。


<INFORMATION>


©2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

『劇場版おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』
全国劇場にて公開中
配給:東宝

監督:瑠東東一郎 脚本:徳尾浩司 音楽:河野伸
主題歌:スキマスイッチ「Revival」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)
出演者:田中圭 林遣都 内田理央 金子大地 伊藤修子 児嶋一哉・沢村一樹 志尊淳・眞島秀和 大塚寧々 吉田鋼太郎
https://ossanslove-the-movie.com/

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