ブロックハンプトン独占取材「俺たちはブラザー、壁にぶち当たってる人々の味方」

―さて、今回はブロックハンプトンにとって初の来日であり、初のアジア公演でもあります。言葉の壁がある国での滞在やショウをどのように感じていますか?

ドム:本当に頭が下がる思いだよ。日本に限らず英語が母国語じゃない国にツアーに行くと、みんな時間を割いて俺たちの言葉を勉強してくれててさ、信じられないよ。時には本当に小さい子供まで歌詞を覚えて歌ってて、「ワオ、音楽から英語を学んでるなんて!」って驚かされる。素晴らしいことだよ。

ジョバ:俺にとってはシュールにすら思える。「なんでこんなことが起きてるんだろう?」って、夢みたいな気持ちだよ。今こうして日本にいることだって未だに信じられないくらい。

ケヴィン:しかも日本のファンって本当に細かいところまで集中して観てるよね。だから俺たちも大人数の観客が熱狂してるような海外のステージより、もっと細部まで丁寧にパフォーマンスしなきゃって気持ちになる。そうすることでライブ自体がもっと強力なものになっていくからね。

―これまでブロックハンプトンはツアー先のオーストラリアやドイツでミュージックビデオを撮影していますが、日本でも『Ginger』に向けて何か撮影した?

ケヴィン:ミュージック・ビデオは撮ってないけど、プロモーション用のビジュアル素材は撮影したよ。




Photo by Kazushi Toyota

―それは楽しみですね! ベアフェイスはインスタに『AKIRA』のTシャツをアップしてたし、ドムが今敏監督の映画『パプリカ』や小島秀夫監督のゲーム作品が好きというのは知ってるんですが、他に日本のポップカルチャーで好きなものや影響を受けてるものがあったら教えてください。

ドム:俺はすごくいろんな形で日本のポップカルチャーから影響を受けてるんだけど、一番好きなTV番組は『サムライチャンプルー』(2004年放送のテレビアニメ作品)なんだ。DVDボックスを買って、ライナーノーツを部屋の壁に飾ってたくらい好きだよ。それからNujabesはお気に入りのプロデューサーの一人だし(※彼は今回の来日で渋谷のHMVに行きNujabesのアナログ盤が買えたことを大変喜んでいた)。

ベアフェイス:俺は『AKIRA』のシャツを2枚持ってるくらいの大ファンで、あと『頭文字D』も同じくらい好きだね。

ドム:イエス! 『頭文字D』は最高。

HK:カートゥーンネットワーク(アメリカのアニメ専門チャンネル)にTOONAMI(トゥナミ)っていう日本のアニメを主に放送する時間帯があって、子供の頃は学校から帰ってくるとそれを見てた。『ドラゴンボールZ』とか。

ドム:『幽遊白書』!

一同:イェー!

HK:それに『ガンダム』だ。『ドラゴンボール』はオリジナル、Z、GT、改を見て育った。

マット:俺は『キングダムハーツ』の大ファンだよ。あと大谷翔平選手のユニフォームが欲しくて探してるところ。

ロミル:『ファイナルファンタジー』も!

ドム:子供の頃は少年ジャンプをずっと読んでたな。あと『クレヨンしんちゃん』はめちゃくちゃ面白かった。日本のポップカルチャーで好きなものリストを作ろうと思ったら、終わらないくらいだよ(笑)。


インタビューは惜しくもここで時間切れとなってしまったが、最後にメンバーにちょっとしたプレゼントを贈った。筆者の友人でブロックハンプトン・ファンである漫画家、wako氏によるメンバーの描き下ろしイラストをプリントしたものである。偶然にもwako氏もドムがインタビュー中に挙げた『サムライ・チャンプルー』のファンで、それを意識しつつパフォーマンス・メンバーをサムライ風に描いた作品なのだが、これにはメンバー一同大喜び。最終的にプレゼントしたプリントはドムのものになり、彼が自宅の壁に飾るそうだ。

もう一枚のプリントには、インタビューに参加したメンバー全員にサインを寄せてもらった。12人のサインが揃う機会はなかなかないので、ここに掲載しよう。



そして、最新作『Ginger』が遂にリリース。筆者もまだ2周しか聴けていないのだが、明らかに彼らが新しい扉を開いたことがわかる意欲作だ。叙情的で美しいトラックはこれまでと明らかに趣が異なり、ラップパートもメロディアスな展開が多い。サマソニでのパワフルでエナジェティックなパフォーマンスからブロックハンプトンにハマったという人には『Saturation』シリーズか『iridescence』からの入門をおすすめするが、過去4作を聴いているという人なら、彼らの新しい冒険にぜひ一緒に踏み出してみてほしい。ブロックハンプトンとの素晴らしい夏の思い出を反芻しながらこのアルバムが楽しめるのは、日本のファンだけの特権なのである。

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