サマソニ現地レポ あの場にいた人は誇るべき、フォールズが到達した圧倒的すぎる高み

フォールズのヤニス・フィリッパケス(©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.)

今年3月に二部構成作品の第一弾アルバム『Everything Not Saved Will Be Lost – Part 1』をリリースし、10月に『Part 2』の発表を控えているフォールズ。ちょうどその中間での来日となった今回、東京2日目トリ前のSONIC STAGEに登場となった。

MARINE STAGEのRADWIMPSと時間が丸被りし、BEACH STAGEでは日本でも大人気のスーパーオーガニズムが出演中という厳しい状況だったとはいえ、SONIC STAGEは余りにも寂しい客入り。もちろんフェスという条件である以上は仕方ないのだが、本国イギリスではアリーナ規模のツアーを行い、フェスのヘッドライナーも務めていることを思えば、日本と海外での人気の差にどうしても悔しい思いを抱いてしまう。ただ、あの場に居合わせた人はその体験を大いに自慢していいだろう。フォールズは他の追随を許さないほどの凄まじいライブパフォーマンスで、お世辞にも大入りとは言えないがそこに集ったオーディエンス全員を見事に魅了してみせた。国内外から多くのアクトが集い、熱演を見せている今年のサマーソニックだが、個人的なベストアクトは圧倒的にフォールズだった。

最新作のアートワークを模した樹木が各所に置かれ、バックスクリーンには狛犬のような二対の石像。教会音楽を思わせるサウンドに乗せて、オリエンタルな南国のイメージで飾られたステージにメンバーが登場した後、AIを思わせる女性の無機質な声が「Everything Not Saved Will Be Lost」とつぶやいてライブはスタート。1曲目の「On the Luna」から、それぞれが叩き出す強靭なビートの応酬に心が躍る。


©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

ヤニス・フィリッパケスが「コンニチハ!」と一言挨拶をした後、間髪を入れずに「Mountain at My Gates」へ。ここでも、グランジ/オルタナを髣髴させるギターリフにもう一本のギターが高音の反復リフを重ね、さらに太いベースが加わりドラムがビートを叩き始め……と、曲が進行するたびに折り重なって複雑なレイヤーを奏でていく一音一音に興奮を抑えきれない。昨年、最初期からのベーシストが脱退し、メンバーチェンジを経験したフォールズだが、その影響は明らかにバンドの実力を一つ上の次元へと押し上げていた。

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