miletのラブソングを支えた5曲「自暴自棄だった私をくるりが救ってくれた」

milet(Courtesy of SME Records)

シンガーソングライターのmilet(ミレイ)が早くも3rd EP『us』をリリースした。本人いわく「初めて書いた直球のラブソング」となった表題曲は、日本テレビ系 水曜ドラマ『偽装不倫』主題歌に起用され、YouTube再生回数700万回を突破。さらにROCK IN JAPANやサマーソニックといった大型フェスに登場し、8月23日(金)にテレビ朝日『MUSIC STATION』生出演を果たすなど大躍進を見せている。今回のインタビューではmiletの恋愛観を掘り下げつつ、EPの制作に影響を与えたという「最近好きな5曲」のプレイリストも作成していただき、彼女のリアルな素顔に迫った。


愛してるは言えるけど、好きとは言えない

―今回のアーティスト写真、カラフルな感じでいいですよね。

milet:海の近い家で撮影しました。夏に出す歌だしちょっと爽やかなイメージで。心なしか気分も上がって、爪も明るく塗っちゃって(笑)。

―ジャケットも晴れやかな感じで。

milet:そうですね、コラージュっぽくして。ただ、本当はもっと明るいジャケットにするつもりだったんですけど、私が入ったら少しアンニュイな感じになってしまって……。

―ポップになりきれなかった。

milet:うん、なれなかったです(笑)。


『us』ジャケット

―ははは(笑)。3作目のEPを完成させた今の心境は?

milet:(表題曲の)「us」はテレビで流れた時点でとても好評だったので安心しましたけど、私のなかでもだいぶ挑戦した曲なので、最初はどんな反応が出てくるか不安なところはありましたね。

―挑戦というと?

milet:今回は、2カ月ぐらいでデモを20曲くらい作ったんですけど、。TVドラマ「偽装不倫」という作品が持つ世界観と私の楽曲の世界観をうまく融合させるために、何度何度も試行錯誤を繰り返しました。それだけの期間、こんなに一つのものをテーマに曲を作ったことがなかったので、今まで以上に集中力のいる制作現場でもありましたし。

―2ヵ月で20曲作るのはシロウト考えでも大変そうです。

milet:でも、本当にいい曲がたくさん生まれました。どの曲もいつか発表したいなって思います。もともと私は、洋楽的な音のなかに日本で耳馴染みのある音を取り入れてきたんですけど、逆に耳馴染みのある音、メロディーから入って、洋楽感を少しずつ足していくスタイルにして完成したのが「us」でしたね。




―でも努力の甲斐あり、“好きだと言ってしまえば何かが変わるかな”という最高のフレーズが生まれたわけですよね。これが閃いた瞬間にいけると思ったんじゃないですか。

milet:というか、この歌詞のほかにはなかったですね。1番〜2番〜最後のサビで大きく変わったりもできるけど、やっぱりパンチがあるワードが出てきたから、それを頼りに突き進んでいった感じです。

―以前、“愛している人に「愛してる」って言いますか?”ってツイートしていましたよね。あれはこの曲と関係あるんですか?

milet:そうですね。レコーディングしてる時期のつぶやきだったかな。私は言うんですよ、愛してるって。でも好きとは言えないんですよね。

―愛してるは言えるのに?

milet:うん。私の予想だとみんなは逆に、好きとは言うけど、愛してるは言わないかなと思っていたんです。だけど、さっきのつぶやきに集まった声によると、愛してると言うタイプの人が多いみたいで。私のフォロワーは愛に熱い(笑)。

レコログのインタビューによると、「us」の歌詞に“好き”と入れるのを最初はためらったそうですね。「まだ、本気で“好き”と伝えたことがないんですよ」「私が“好き”と“愛している”を感情的に表現しているのは、家族しかいないんですよ」とも話していますが、これは……?

milet:“好き”の使い方にもよるんですけど、私は告白というのをしたことがなくて。別にたくさん告白されてきたわけでもないけど、自分が好きになっても告白はしないんですよね。その勇気がない。受け入れられるって確信がないと、私は行けないんです。

―感情の重さで言ったら、一般的には「好き<愛してる」じゃないですか。軽い言葉の方が言いづらいって面白いですね。

milet:でも、片思いの人に対しては“好き”って言いますよね。いきなり“愛してる”じゃなくて。

―それはちょっと怖いですね。

milet:そうそう、重いタイプになっちゃう(笑)。自分も相手もお互い愛してるという前提があってこそ、愛してるという言葉にも安心感があるわけじゃないですか。そういう意味では、口に出した方がいい言葉だとも思っていて。おはようのときも、おやすみのときも“I Love You”と私は言うし、今はいないけど恋人ができたら同じように言いますね。家族にはしつこいとも言われるんですけど(笑)。

―“好き”はちょっと照れくさい?

milet:というより、“I Love You”と“好き”の差がだいぶ離れてるかな。私のなかで、“好き”は不安な気持ちを孕んでいる。片思いのドキドキ感とか。

―それこそ、「us」の歌詞みたいなシチュエーションは経験あったりします?

milet:ありますね。好きって言わないけど、好きだと言ってしまったら……もう終わっちゃうのかなって。ただ、私の場合はいけると思ったら言うけど、90%は言わない。

―こんな直球のラブソングを書き上げたのに弱気ですね。

milet:私の恋愛は直球じゃないので(笑)。相手のサインを見ながら、ストレートで行くか、カーブで行くか……みたいなことをしっかり考え、無理そうだったらやめる感じ。だからこの曲では、私の数少ない恋愛経験における直球っぽい気持ちをなんとか拡大してみて。

―がんばったんですね(笑)。

milet:でもやっぱり、原作があったことが本当に大きかったですね。少女漫画も全然読んだことなかったけど、東村アキコさんの原作を読んだら、思いのほか胸がキュンキュンしまして(笑)。その世界に浸ったままドラマの脚本も読み、「歌で胸キュンをさせたい!」と勢いでメロディを作りあげた感じです。

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