miletのラブソングを支えた5曲「自暴自棄だった私をくるりが救ってくれた」

―そんな「us」を物にしつつ、EP全体は今回もバラエティに富んでいますね。4曲目「Fire Arrow」のダークでシリアスな感じも印象的でした。

milet:この曲は2018年に作ったもので、サビの歌詞で“カードを裏返す”くだりは当時のアメリカの政権を意識しました。あんまり政治的なことは曲にしてこなかったけど、ニュースを見ながら思うところがあって。人間として生まれたからには、問題を解決するときも暴力でねじ伏せるのではなく、言葉で戦うべきという想いを込めています。もちろん、大自然とか『ハンガー・ゲーム』みたいな映画を思い浮かべる人もいるだろうし、解釈は聞き手に委ねたいですね。



―ほかの2曲はどうでしょう?

milet:「Diving Board」は大切な友だちに向けた曲です。この曲を作った頃、私はまだデビュー前で。そんな自分が“前に踏み出そう”と口先だけで言っても説得力がない気がしたので、歌の力を借りてみました。「Rewrite」は異国情緒のある曲をめざしたもの。MVはフランスで撮影したもので、監督のティファニーもフランス人。私は歩くのが好きで、撮影中もひたすらパリを歩き回ってました。



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―miletさんって多作家ですよね。たった半年でEPを3枚も出すとか相当ハイペースですよ。

milet:素敵なお話もいただいてるし、曲のストックもやりたいこともたくさんあるので。それに、「コイツどんどん出すな!」って思っていただけたほうが印象にも残りやすいかなって。

―それとは別に、毎週木曜に出演しているJ-WAVEのラジオ番組「SONAR MUSIC」の選曲もしていますよね。映画音楽がテーマの回で、『フェリスはある朝突然に』の話をしながらビートルズの曲をかけたあと、「『8 Mile』 のラップバトルは3カ月に1回くらい観たくなる」とか言っててシビれました(笑)。

milet:まさか聴いてくださってるとは(笑)。

―コメントも面白いし、miletさんは選曲家としても最高だなって。今年6月の「SPECIAL SHOW CASE Vol.2」でかけてたプレイリストも、アンニュイな感じでよかったです。


milet:あのときは私の音楽とも合うような選曲を意識しました。でも普段作っているのは、元気なものが多いかもしれない。運動する時のプレイリストとか。あと、好きすぎて内緒にしてる曲ってあるじゃないですか(笑)。知ってほしいけど知られたくないところ。そういうプレイリストをこっそり作ったりもしてます。

―というわけで、この記事のためにmiletさんからプレイリストを作っていただきました!

milet:選曲のテーマは「最近好きな5曲」です。普段からよく聴いてたり、今回のEPのためにまた聴くようになった曲だったりを選びました。

―ここからはそのプレイリストを通じて、miletさんの音楽観を掘り下げていきましょう。1曲目はカーリー・レイ・ジェプセン「I Really Like You」。さっきの「好きとは言えない」問題とリンクしている気がしました。

milet:そうなんです、この曲は何度も聴き返しました。改めて聴くとかなりガーリーだなって。「us」を作るにあたって、洋楽でキャッチーなポップスをすごく探したんですよ。そのなかで、ケイティ・ペリーやテイラー・スウィフトみたいな人もいるけど、誰よりもJ-POPとの親和性を感じたのがカーリー先生でした。

―この曲や「Call Me Maybe」のサビは、日本人が大好きなやつですよね。

milet:うんうん、一度聴いたら忘れられないし。

―そのサビで、“Like”を伝えるために“Really”を繰り返すじゃないですか。これは普通の“I Love You”よりも遥かに感情が伝わるだろうなって。

milet:締め付けるような歌い方もいいんですよね。「好きだけど、好きだけど……言えない!」みたいな。そういう臨場感や気持ちの昂りを、カーリー先生はバッチリ表現している。どれくらいストレートに“好き”と言うべきか悩んでいたなかで、とっても参考になりました!



―2曲目はザ・キラーズ「The Man」。EPへの影響というよりは……。

milet:ただただ好きな曲ですね(笑)最初に聴いたとき、90年代くらいの古い曲だと思ったんですよ。でも、間奏でいきなりエレクトリックな音が鳴り出して、思わず調べたら最近の曲で(2017年)。そこからずっと聴いてますね。ここ最近も、朝の歯磨き中に必ず聴いてます。それこそ、自分でプレイリストを作るときになぜかいつも入ってる。

―よっぽど大好きなんですね(笑)。

milet:すっごく踊れるんですよ。クレイジーになって暴れられる曲! 部屋で一人のときに聴いて、ハチャメチャになって踊ってますね。誰にも見せられない時間(笑)。

―よく一人で踊ってるんですか?

milet:踊ってますね、首を振ったりしながら!


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