ボートレースと恋を絡ませたテーマで、大槻自身大好きだという新曲「メグマレ」は、ブレスをする暇もないように歌われる歌詞の語感と、16ビートの小気味良いリズムが耳に心地よい。爽快感もありながら、どこか叙情性やノスタルジーを感じさせるのは、大槻の文学青年ぶりが時折顔を覗かせるからだろうか。また、ライブならではの音圧もあって、音源とはひと味違う表情を感じることができた。
曲を披露する前には、「ちょっとアダルトな方向にシフトしたいという気持ちもあるんです」と、今の特撮についての気持ちを吐露した大槻。確かに、エディこと三柴作曲のバラード曲「ピルグリム(放浪者)」も含め、この日演奏された既存曲と新曲は明らかにテイストの違うものに感じられた。ヘヴィなドラム、ベース、クラシカルさとファニーさが行ったり来たりする鍵盤が対照的な「アングラ・ピープル・サマー・ホリディ」、ドリーミーな「荒井田メルの上昇」の淡々としたリズムとシンフォニックな鍵盤、メロウなギターの音色が創り上げる音像は、確立された特撮サウンド。こうした楽曲に『スリーストーリーズ』の新曲が加わることで、緊張と緩和、剛速球と変化球のような面白みのあるライブとなっていた。
後半では「綿いっぱいの愛を!」、「シネマタイズ(映画化)」と、怒涛のサウンドで観客を巻き込み、会場が一体に。終演後も、しばらく長い間お客さんが残り、拍手が鳴りやまないほどの盛り上がりであった。
来年でデビュー20周年を迎える特撮。活動開始以来、作品ごとに様々なジャンルの音楽要素を内包した楽曲でその唯一無二の世界観を表現してきた彼らの、新たなモードを感じさせ、さらなる活発なライブ活動と作品の発表へ期待が高まる一夜だった。「特撮・夏のデビル〜スリー ストーリーズ発売記念LIVE!」は、8月20日(火)東京・新宿LOFT 公演が、8月23日(金)には大阪・umeda TRADで公演が行われる。
<リリース情報>特撮会場限定Single『スリーストーリーズ』発売日:2019年8月16日(金)価格:1852円(税抜)=収録曲=1. 夏のデビル2. メグマレ 3. ピルグリム(放浪者) 4. 夏のデビル (off vocal ver.) 5. メグマレ (off vocal ver.) 6. ピルグリム(放浪者) (off vocal ver.)7. オム・ライズ (“EVIL A LIVE” 2019 ver.)8. アングラ・ピープル・サマー・ホリディ (“EVIL A LIVE” 2019 ver.)9. 人として軸がぶれている (“EVIL A LIVE” 2019 ver.)10. 林檎もぎれビーム! (“EVIL A LIVE” 2019 ver.)<ライブ情報>特撮2019 LIVE「特撮・夏のデビル~スリーストーリーズ発売記念LIVE!」2019年8月20日(火)東京・新宿LOFT時間:OPEN 18:15 / START 19:002019年8月23日(金)大阪・umeda TRAD時間:OPEN 19:00 / START 19:30チケット:スタンディング6000円(税込 / 1drink別)特撮HP:http://www.okenkikaku.jp/tokusatsu