細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析

「CHOO-CHOOガタゴト」にはニューオーリンズが生んだ偉大なファンクグループ、ミーターズの「Cissy Strut」のニュアンスも感じられます。また、ニューオーリンズということでいえば、細野がはっぴいえんどのLA録音の際にレコーディングを見学して衝撃を受けたと言うリトル・フィートの影響もあるでしょう。彼らはLAのバンドですが、ヴァン・ダイク・パークスの『Discover America』のレコーディングに参加した際に、そこで取り上げられていたニューオーリンズが生んだ偉大なミュージシャン、アラン・トゥーサンのペンによる「Occapella」、「Riverboat」を通じて彼の地の音楽に惹かれたそうで、『Dixie Chicken』でニューオーリンズ的なリズムの実践に取り組んでいます。ちなみに、「Occapella」と「Riverboat」のオリジナルはプロデュースをアラン・トゥーサンが、バッキングをミーターズが担当したリー・ドーシーの『Yes We Can』に収められています。

細野はインタビューで「CHOO-CHOOガタゴト」はリトル・フィートのレコーディング見学の際に彼らが演奏していた「Two Trains」のニュアンスが強いと発言しています。『Dixie Chicken』では「Dixie Chicken」や「Fool Yourself」がわりとニューオーリンズ風のハネ方をしているように思います。「Dixie Chicken」でも例の「ボボッ」というフレーズを聴くことができます。ちなみに、「Fool Yourself」のドラムブレイクをア・トライブ・コールド・クエストが「Bonita Applebum」でサンプリングしています。

『Hosono House』がリリースされた1973年はニュー・ソウルやファンクが定着してきた時期でした。そうしたジャンルにハネた16ビートとでも呼ぶべきリズムの曲が多く残されています。少し挙げてみましょう。カーティス・メイフィールド「Freddie’s Dead」、ダニー・ハサウェイ「What’s Going On」、スティーヴィー・ワンダー「Superstition」、ビル・ウィザーズ「Lonely Town, Lonely Street」、ファンカデリック「Loose Booty」、ジェイムス・ブラウン「Talking Loud and Saying Nothing」などがあります。すべて1972年にリリースされた曲です。

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