殺人鬼チャールズ・マンソンの歪んだビートルズ愛「この音楽は無秩序な力を引き起こす」

チャールズ・マンソンはただのイカれた奴

「誰もがハッとした。ラブ&ピースやサイケ満載のアルバムで、いきなりこんな暴力的な曲が出てきたんだから」と、リンゴ・スターは言った。「実際、本当にさんざんだった。ロサンゼルスの誰もが『大変だ、いつかは我が身だぞ』と感じていた。悪人がつかまったのがせめてもの救いだ」

「もうひとつ僕がいらっとしたのは、マンソンが殺人犯としてはもちろん、長髪と口ひげ姿のイメージを塗り替えたことだ」とハリスン。「それまで長髪と髭といえば、散髪に行かないとかひげを剃らないことだった――なんかむさくるしい、というだけだったのに」

「事件が起きた時に自分が何を考えていたか、覚えてないな」とレノンは1970年、ローリングストーン誌に語った。「彼が口にした多くのことは真実だ。彼はこの国が生んだ鬼っ子、彼を作ったのは僕らだ。彼はそういう行き場のない鬼っ子どもを集めた。もちろん、正真正銘イカれた奴だけどね」

「ピッギーズ」や「ヘルター・スケルター」に関しては? 「彼はネジがイカれてるよ。神秘的なものを勝手に読み取るような、ビートルなんちゃらファンと同じさ」とレノン。「僕らはこの手のことを、軽い気持ちで受け流してきた。知恵の働く人は僕らのことを理解してくれるし、象徴主義的な若い世代はそこに何かを見つけたがる。僕らも時には真剣にとらえることもあるけど、でも“ヘルター・スケルター”が刺殺とどう関係するのか、僕にはさっぱりだ。そんな歌詞はどこにも見当たらない。あれは単なるノイズなんだ」

Translated by Akiko Kato

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