ハードロックの栄枯盛衰を乗り越えた男が語りつくす、愛と憎しみの30年間

スキッド・ロウのヴォーカリストとして絶大な人気を誇ったセバスチャン・バック(Photo by Enzo Mazzeo)

「俺たちが成功するとは誰も思っていなかったと思う」と、スキッド・ロウのフロントマンだったセバスチャン・バックは言う。

1989年の夏、ボン・ジョヴィはアルバム『ニュージャージー』のツアーに、地元の友人たちを前座として招いた。それがニュージャージー州トムズ・リバー出身のハードロック・バンド、スキッド・ロウだった。

同年、彼らはデビューアルバム『スキッド・ロウ』を発表。「アイ・リメンバー・ユー」や「エイティーン・アンド・ライフ」といったドラマチックなバラード曲が、無名の前座バンドにプラチナを5枚もたらした。

そしてこの秋、同作の30周年を祝うツアーが2つ実施される。一つは現在のスキッド・ロウによるツアー。不動のメンバーであるデイヴ・スネイク・セイボ、レイチェル・ボラン、スコッティ・ヒルが自分たちの作った楽曲を演奏する。もう一つは、8月29日から始まる元メンバーらによるツアーで、ここではスキッド・ロウの楽曲を有名にしたオリジナル・ヴォーカリスト、セバスチャン・バックの歌声での演奏を楽しむことができる。ちなみに『スキッド・ロウ』は今年初めにデラックス・エディションとしてデジタル配信された。

今年6月、再結成を目論んだバックは、これが最後とSiriusXMの番組「Trunk Nation」でかつてのバンド仲間に直接呼びかけた。「俺と一緒にステージに立ってジャムりたいっていうのなら、いつでも歓迎するぜ」と。すでにバンドを脱退しているオリジナル・ドラマーのロブ・アフューソは別として、スキッド・ロウの現メンバーからの返事はまだない。

「期待しないほうがいいぜ」とローリングストーン誌に言うバック。スキッド・ロウの公式サイトのバイオページには彼の名前すら載っていない。クビになって以来23年間、メンバーと一言も口を聞いていないと言う。これにセイボは反論する。「9年くらい前にダフ・マッケイガンのマネージャーをしていたときに彼に会った。ダフと彼のバンドがヴェイパールームでライブをやったときに、セバスチャンがガールフレンドと一緒に来ていた。短い時間だったけど、少なくとも友好的な雰囲気だった。特別だったとは言えないけど」と、ローリングストーン誌にメールでコメントを寄せてくれた。



Translated by Miki Nakayama

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