ハードロックの栄枯盛衰を乗り越えた男が語りつくす、愛と憎しみの30年間

スキッド・ロウのヴォーカリストとして絶大な人気を誇ったセバスチャン・バック(Photo by Enzo Mazzeo)



スキッド・ロウがバラードを作らなかった理由

―この曲以外にスキッド・ロウがバラードを一切作らなかった理由は何ですか?

そうだな、君が「エイティーン・アンド・ライフ」をバラードだと思うかわからないけど、「アイ・リメンバー・ユー」の前にこの曲がリリースされているし、トップ10シングルになった。4位だったと思う。ヘヴィな感じの曲だけど。でも「アイ・リメンバー・ユー」はアコギの音が入っている時点でバラード・カテゴリー入り確定だ。これに関しては疑問の余地はないよな。



―スキッド・ロウはヘヴィなバラード曲を作る才に恵まれていたと思います。

チャールズ・ミンガスが「音楽には2つの種類しかない。良い音楽と悪い音楽だ」と言っていたけど、俺は昔から「アイ・リメンバー・ユー」がいい曲だってわかっていた。根拠はないけど、そう思ってたのさ。俺の場合、気に入らない曲は歌えない。たとえ歌っても上手く歌えない。「アイ・リメンバー・ユー」は聴いた途端に、そして歌い出した途端に惚れ込んだ曲だ。とにかく大好きだったし、30年経った今でも大好きだね。

―あの曲を聴いたときも歌ったときも、マリアのことを考えていたと?

ああ、当時はそうだった。

―では曲の最後で激怒しているように聞こえる理由は?

あの部分でヴォーカルから聴こえてくる感情は、夢のために子どもを捨てる父親のそれで、「俺が手に入れたすべてのものをこれに与える」と言っているわけだ。俺がその歌詞を歌うとき、必死さが感じられるはずだ。ガキの頃に父親が俺を捨てて出ていったことが影響しているし、俺は絶対に父親のようなことはしないって神に誓った。でも、そんな俺が父親と同じことをしているんだよ。最後の叫び声はその思いさ。俺は常に歌詞の意味を歌でしっかり表現するタイプのヴォーカリストだし、ちゃんと表現できていれば、人々に歌を伝えられていると実感するんだ。ほんと、言葉を伝えることが大事。それを覚えたのがあのレコードだったね。そして、あの曲がそういう歌い方を覚えた曲だった。

―では「エイティーン・アンド・ライフ」はどのように自分のものにしましたか?

「これ、俺にできるの?」って思ったのさ(と言って歌う)。「Blew the child away……fingers on the bone……」って。いろんなタイプの高音のスクリームを加えてみたら、みんなそれを気に入ってくれたんだ。だから続けたってだけ。

Translated by Miki Nakayama

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