フジロック現地レポ どのシーンにも属さない、平沢進の革新的すぎる「異質さ」

平沢進は28日(日)、フジロック3日目のRED MARQUEEに出演。(Photo by Taio Konishi)

フジロックで平沢進が演奏する……これはひとつの「事件」と言ってもいい出来事だった。何しろレコード会社ともJASRACとも契約せず、特定の音楽シーンにも属さずに独立独歩で活動し、現在の地位を築き上げてきた「キング・オブ・アウトサイダー」みたいな人である。その彼がロック・フェスでどんなライブを行ない、人々(ここでは主にファンではない人、の意)はどんな反応をするのかーーP-Modelでデビューしてから40年、ソロ・デビューしてから30年というこの節目の年に実現した僥倖に、どうしたって心ははやる。

まずは開演1時間ほど前に、今回、どんな楽器や装置を持ってきたのかチェックしようと思いRED MARQUEEをのぞいたのだが、既に前方には多くの人々が詰めかけていて会場の1/3ほどが埋まっている状況。驚いた。

思えばフジロック3日目の会場には朝から、前日までには見られなかったような“襟付きのシャツ+綿パンツ”といった「街着」スタイルの人や、これまたフジロックではあまり見ない、普通の鞄を斜めがけにした人が散見されたから、おそらく平沢を観るために初めてロック・フェスティバルに来た人も多いのであろう。ファンであればこの特別なステージをベスト・ポジションで見届けたい思いは同じ。その抑えきれない興奮は、開演前のテストでライトが光ったり、わずかな音が出たりする度に「おーっ!!」という歓声が沸いていたことにも現われていた(ちなみに “フジロッカーズ”はその光景に驚いていた)。



ライブは「TOWN-0 PHASE-5」でスタート。壮麗さをたたえたエレクトロニックなサウンドに乗せて、平沢の朗々とした声が伸びやかに響き渡る。

両脇に伴う会人(ペストマスクを被ったマルチ奏者で、近年の平沢ライブには欠かせない存在)は、今日はいずれもギターを抱えており、平沢と合わせるとトリプルギターになる濃厚な編成だ。当然、音も普段よりエッジが増大していて、聴衆はまず、サウンドそのもののカッコよさと平沢の歌の力に度肝を抜かれたようだった。

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