『ヒプノシスマイク』がコンテンツの王者になった理由 伊東健人+神尾晋一郎 インタビュー

写真左が観音坂独歩役の伊東健人、右が毒島メイソン理鶯役の神尾晋一郎(Photo by Masato Moriyama、Styling by Ayako Udagawa、Hair and Make-up by Narumi Tsukuba)



「ラップバトル」と「キャラソン」の融合

ー「ラップバトル」と「キャラソン」を組み合わせるには高度な技術が必要になると思います。通常のキャラソンとの違いを感じる瞬間はありますか?

神尾 通常のキャラソンは歌詞を見ながら収録するんですが、このプロジェクトに関しては、仮歌をいただいた段階でそれを完全に頭に入れて、「キャラの口から自然にラップが出る」ということを意識しています。

伊東 そもそも、歌詞を用意していただいても、見る暇がないんですよ(笑)。これはライブも同じで。

神尾 そうですね。それに、僕らは声優ですから、体に馴染んだ状態でキャラとしてラップをして初めて、ラッパーとしてのスタートラインの下のほうに立たせてもらえるんじゃないか、と思っているんです。

伊東 一方で、僕らが声優だからこそ生まれるものもあります。僕らは「キャラクターを演じるためにラップをしている」ので、一度キャラになりきると、その後はキャラにお任せするような感覚もあるんです。そこで自分でも予想しなかった要素が出てくる瞬間も結構あって――。たとえば独歩なら、彼が自分の心をさらけ出すのはラップの終盤が多いですが、キャラクターがその終盤に叫ぶような方向に導いてくれることもありました。

神尾 僕もそういうことは多いです。あと、理鶯はハーフで英語を使っても不思議ではないキャラなので、逆に日本語も英語っぽく聞こえていいんじゃないか、ということも考えています。本来、僕ら声優は明瞭な発音を心掛けますが、その部分をわざと甘く設定することで、“キャラとしてのリアル”に繋がるのかな、と。そんな風に準備をすれば、あとは「キャラがラップをしてくれる」という感覚なので、ライブでお互い向き合ってパフォーマンスをしても、皆さんキャラに完全に入り込んでいるんですよ。楽屋では優しいのに、本番では「嘘でしょ……?」というくらの表情でこっちを見てくる……(笑)。

伊東 本番は特に、エンジンがかかりますからね。これは僕らの場合、「キャラがフリースタイルをやっている」からできることで、自分自身でやってくれと言われたら、かなり難しいことだと思います。

神尾 だからこそ、フリースタイルを披露する機会がある『ニコニコ生放送』のような場所は怖いんですよ。「いやいや、我らは声優ぞ?」と……。

伊東 (笑)。そのためにも、今では2時間ほど時間が空いたときには喫茶店に入って、普段からリリックを考えたりするようになりました。

神尾 僕も、毎日8小節リリックを書くようになりました。(ノートを出して)こんな風に、毎日リリックを考えているんです。そうすると、「単に韻を踏めばいいわけではない」など、ラップを理解できるようになって、それが理鶯を演じる際にも活きています。

ーまた、最初にリリースされたソロ曲に対して、バトルシーズンの楽曲はより激しいものに変化したりと、「何のための曲なのか」によって音楽性に様々なバリエーションが生まれているのも面白いですね。

神尾 そういう意味でも、ラップ初心者の方が触れたときに、「ラップってこんなに種類があるんだ」ということが伝わるコンテンツになっていますよね。ディビジョン内でも3者3様ですし、4つのディビジョンで12人12様のフロウが楽しめて、ポエトリーなものもドープなものもあって、本当に多種多様で。


毒島メイソン理鶯役の神尾晋一郎 ©Kenta Kumei

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