INORANが語る音楽人としてのアイデンティティ「常にドアを開いていたい」

『2019』は「巻き込み型」のアルバム

―佐野元春さんが「ミュージシャンは炭坑の中のカナリヤみたいなものだ」とおっしゃってました。つまり、ミュージシャンは時代の空気を真っ先に感じて、それを音として発信しているんだと。INORANさんも、当然のように時代の空気を先取りで感じて音にしているんですね。

僕はまだまだだし、そんな風に出来ているかどうか分からないけど、そういう先輩に付いていきたいし、そういうミュージシャンでありたいとは常に思ってます。日本で言えば、佐野さんもそうだし、アメリカで言えばボブ・ディランだったり。彼らには時代の予言者のようなものをすごく感じますね。

―LUNA SEAは平成元年の結成なわけですが、令和という新しい時代になってみて今思う平成はどんな時代だったと思いますか?

ハーフタイムだったんじゃないかなって思います。なので、平成が終わって、ここから後半が始まるんじゃないかなって。それは、地球規模でもそうだし、日本でもそうだし。音楽業界もそうだと思います。

―ある意味アルバム『2019』は後半戦の始まるホイッスルであると?

ホイッスルかどうかは分からないです(笑)。ただ単純にソロのキャリアの中で10枚以上アルバムを出していて、これからも出すだろうし、ここで『2019』だったら分かりやすいなと思った部分もあるので(笑)。あとから振り返った時に、誰がどうみてもこのアルバムは2019年制作でリリースだって分かる印になる。でも「印」ってすごい大事で。意味のない印はないんだけど、ザ・印なんで。そういうタイトルをつけたこと自体に何か意味あるんだろうなって思いますね。

―その『2019』、収録曲の作詞はINORANバンドのベーシストのu:zoさん、同じくギタリストの村田有希生さん他、いろんな方が担当してますね。

僕は基本的に制作は、自分の周りの人皆に参加して欲しいと思っているんです。キングレコードのスタッフの方もコーラスで参加してもらってますし。

―へぇ。

完全に巻き込み型の制作です。あるいは皆参加型。そこのケミストリーが音楽の一番の強みだったりするわけなので。それはライブでもそうだし。出来るだけ多くの人と一緒に作りたいんです。

―キングレコードの方がコーラスで参加しているのは、「Rise Again」ですか?

そうです。あと、「Long Time Comin」「Don’t you worry」もいろんな方にコーラスで参加してもらっています。

―そういうアイデアは現場で思いつくんですか?

現場ではなく、数日前に「集合っ!」て言ってみんなに集まってもらう段取りはしています。で、そのほうがこのアルバムに愛着が湧くと思うんですよ。皆に自分のものって思ってほしいし。自分と思ってほしいし。それが理想だと思うんですよね。だからみんなに参加してほしい。最初に言った通り巻き込み型ですよ。

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