フジロック現地レポ キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード、抱腹絶倒のメタル・ショー

キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードは26日(金)、フジロック1日目のWHITE STAGEに出演した。(Photo by Kazushi Toyota)

古くはアンスラックスから、最近だとデフヘヴンやBABYMETALまで、フジロックのWHITE STAGEには薄っすらと、しかし確実に「メタル枠」というものがある。今や世界有数のサイケデリック・ロック大国となったオーストラリアの怪物バンド、キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード(以下、KGLW)がまさか「その枠」として出演することになるなんて、第1弾ラインナップ発表があった5カ月前は夢にも思っていなかった。

筆者はRED MARQUEEでサブリナ・クラウディオを3曲ほど聴いてから駆け付けたのだが、道中で漏れ聞こえるリハの出音からして明らかに凶悪。さっきまでの晴天がウソのように雨雲が立ち込めていくWHITE STAGEに、まずはマイケル・カバナーとエリック・ムーアが現れ「ズドン!」と重厚なツインドラムのビートを刻んで火蓋を切ると、大歓声に導かれ残りの5人のメンバーが登場。長髪にエルフ顔の中心人物=スチュ・マッケンジーがメタリカのバンドTシャツ、ベースのルーカス・スキナーが着用するTシャツにはイラスト付きで「バナナ。」のカタカナ文字……という時点でもう「優勝!」としか言いようがないが、そのまま「Self-Immolate」のスラッシーな高速リフに突入すると、ステージ前には早くもモッシュピットが爆誕である。髪を振り乱しながらアヘ顔でギターを弾き倒すスチュに対して、左端でおどろおどろしい鍵盤を鳴らしながらコーラス&ブルースハープを添えるアンブローズ・ケニー・スミス(塩顔イケメン。彼の別プロジェクト=ザ・マーロックスも最高です)とのコントラストも個人的には見どころだ。


Photo by Kazushi Toyota


Photo by Kazushi Toyota

2017年はなんと5枚のフル・アルバムをリリースした彼らだが、今回の来日公演は8月にお目見えする15作目『Infest the Rats’ Nest』にギュッとフォーカスした演目に。続く「Mars for the Rich」では、ミュートを効かせたマシンガン・ギターが時にスタジアム・ロックの貫禄すら漂わせていたし、「アリガトゴザイマス! 日本でプレイできて光栄だよ」というスチュのMCを挟んでからの「Organ Farmer」は、ラムシュタインとスレイヤーを魔改造したような爆裂サウンドに我を忘れて興奮してしまった。スチュはギブソンのホーリー・エクスプローラー、ジョーイ・ウォーカーはフライングVと、視覚的にもロック・キッズを夢中にさせる「分かりやすさ」が散りばめられているのもKGLWの魅力なのだろう。彼らとクック・クレイグを加えた3人が鳴らすトリプル・ギターの響きもレディオヘッドやウィルコに比肩するくらい表情豊かだし、何よりメンバー全員が楽しそうに演奏しているところにグッと来る。

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