スピードワゴン小沢が語る、パンク精神で「今、この瞬間」を生きる美学

現在は、コンビとしてだけでなくソロの活動も多いスピードワゴン。小沢は最近YouTubeチャンネルを開設し、好きな音楽や映画、ゲームについて語りつくしている。昨今メディアが多様化していく中、新たな表現手段を探るための挑戦なのかと思いきや、そこも「成り行き」だったときっぱり。

「福岡で一緒に番組をやっていたスタッフが、『小沢さんのYouTubeチャンネル作らせてよ』っていうから『うん、いいよー』って。スピードワゴンだって、潤が『ネタを書け』と言うから書いてるようなものだし。潤がやらないなら、もうやらないでもいいかなと思う時もあるんだよね。潤はね、『あれやりたい』『これやりたい』ってすごく言うんだけど、俺はそういうのがないの。本当に許されるなら、洞窟の中でずっと映画見たり本読んだりして暮らしたい(笑)」

いい意味で行き当たりばったり、成り行き任せの人生。将来のなりたい理想像などはあるのだろうか。

「それこそ徳井くんなんかは、5年後の自分のことを考えながら毎日生活しているっていうわけ。俺、来週のスケジュールすらよく分かってないから(笑)。こういう話になると『先のことを考えて不安になる』っていう人がいるじゃないですか。存在しないものになんでビビってんの?って昔から思ってる。28歳でM1の決勝に行くまで月収が3000円で、消費者金融にも満額の借金があったけど、なんとも思ってなかったからね(笑)」

過ぎ去った過去も、まだ来ぬ未来も存在していない。あるのは「今、この瞬間」だけ。そこに全力を注ぎ込めば、確かに不安を感じることもないのかもしれない。しかし、多くの人はそれが出来ずに葛藤を抱えているのだ。

「例えばさ、俺は麻雀が好きで結構強いんだけど、それでも負ける時がある。その日もし死んだら俺の人生『負け』で終わるけど、また明日やれば勝つと思っているんですよ。麻雀やっててよかったなと思うのは、どんな状況にあっても『まだ途中だから』って思えるようになったこと。彼女に振られても、めちゃくちゃ仕事で失敗しても、『まあ、人生まだ途中だからな』って。だから挫折とか失敗とか、何とも思わない。恋愛映画でもさ、大抵は『男と女が結ばれました。めでたし、めでたし』でエンドロールが流れるんだけど、人生ってそこでエンドロールなんて流れずに続いていくわけじゃん。だから“ハッピーエンド”じゃなくて“To be continued”が好きなの。だから、何があっても『続き』と思っているから負けても大丈夫」

転がり続ける人生がロックンロールだとしたら、小沢ほどのロックンローラーは音楽界にもそうそういないのではないか。成り行き任せの人生で、これから彼が何を掴み取っていくのか。今後も楽しみでならない。


小沢一敬
1973年愛知県生まれ。お笑いの養成所で知り合った井戸田潤と98年にスピードワゴンを結成。2002年『M-1グランプリ』で敗者復活から決勝戦に進出。麻雀の腕はプロ級。音楽や野球、ゲームにも造詣が深い。また、読書好きで自宅には1000冊以上の本、3000冊を超える漫画を所有している。 スピードワゴン 小沢一敬Official Channel

毎月、主宰ライブを開催中。奇数月はトークライブ「話スピードワゴン」、偶数月は漫才ライブ「東京センターマイク〜スピードワゴンと数組の漫才師〜」を渋谷・ユーロライブにて。


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