トランプ支援集会で一躍スターになった赤ちゃん、陰謀論者を喜ばせる

2019年7月17日、ノースキャロライナ州グリーンヴィルの政治集会でドナルド・トランプ大統領が演説する中、観客の頭上に掲げられた赤ちゃん。(Photo by Gerry Broome/AP/Shutterstock)

アメリカ時間17日、ノース・カロライナ州グリーンヴィルで行われたトランプ支援集会に現れた赤ちゃんが話題を集めた。

母親に肩車された赤ん坊がトランプ大統領の目に留まった。赤ん坊は前面には「トランプ」、背中には「Q」と書かれたロンパースを着ていた。

「ごらんなさい、あのかわいい赤ちゃんを。あの赤ちゃんを見てください」と言ってトランプ大統領が赤ん坊を指差すと、会場から歓声が沸いた。「ワォ、なんという赤ちゃんだ。いやはや! これぞ赤ちゃんの鏡です! まるで広告から飛び出してきたみたいに完璧だ! あの幸せそうな顔をみてください! 本当に可愛い、ありがとう、お母さん。本当に素晴らしい」



赤ん坊のロンパースに書かれていた「Q」とは、全米各地に広がる陰謀論ムーブメント「Qアノン」のこと。ヒラリー・クリントン氏やバラク・オバマ前大統領、ジョン・ポデスタ氏、(そしてなぜか)トム・ハンクスなど、民主党を代表する面々が実は児童売春組織の一味で、トランプ大統領を狙った「ディープステート」なる大規模な陰謀計画を企てている、というものだ。

もともとは「Q」と名乗る投稿者が4chanで、自分はディープステートの陰謀の詳細をよく知る政府高官だ、と主張したのが始まり。Qの存在を信じる人々は、トランプ大統領がいつか売春組織の関係者を全員逮捕し、グアンタナモ収容所送りにしてくれるだろうと信じて疑わず、その日を「嵐」と呼んでいる。

ローリングストーン誌は赤ん坊の両親である下請会社の社員ローマン・ライゼルヴァト氏(24歳)と、専業主婦で熱心な動画ブロガーのキャシディ・ベイルズ氏(21歳)に電話インタビューを行った。2人はローリングストーン誌に対し、Qアノンを意識するようになったのはトランプ氏が大統領に当選したのがきっかけだったと語った。「Qムーブメントから力を与えられた気がします。だって、多くのメディアが我々の大統領を攻撃している時に、大勢の愛国者がトランプ氏を支持しているんですから。自分たちのために戦う人がいて、社会の闇を暴こうとしているなんて、最高の気分です」と、ライゼルヴァト氏はQについて語った(電話ではベイルズ氏はほとんど発言せず、背後で娘をあやす声が聞こえた)。2人は娘にQのロンパースを着せて集会に連れて行くことにした。日付にもこだわって、7月17日をQデイ、すなわち決行の日とした(Qはアルファベットで17番目の文字だから、とライゼルヴァト氏は説明してくれた)。

またQアノンの信奉者は、トランプ氏が嵐の到来が近いことを支援者にほのめかしていると信じている。こうした行為を、彼らは「パンくずを落とす」と呼ぶ。そういった理由から、ベイルズ&ライゼルヴァト夫妻の娘にトランプ氏が大絶賛したのをQ信者は最大のパンくずとみなし、トランプ氏がQベイビーに言及したのはQムーブメントを擁護している証だ、いよいよ新時代の到来だ、というツイートを連投。「QBaby」というハッシュタグは3万8000件以上の投稿で使われた。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE