全米の大麻合法化を阻止する3人の共和党議員

法案が審議されるかどうかは委員長次第

クラポ議員とグラハム議員はそれぞれ上院銀行委員会、上院司法委員会の委員長を務める――いずれの委員会も、今会期中に単独大麻法案を審議する可能性が高い。

例えばSAFE Banking法の場合、下院では大多数で可決すると予想されている。だが銀行取引を扱う法案なので、まず上院銀行委員会の承認を得なくてはならない。同委員会は2016年以来、クラポ上院議員が指揮を取っている。

クラポ氏のお膝元であるアイダホ州は、全米でマリファナを合法化していないわずか3州のひとつだ。医療用カンナビジオール(CBD)の限定使用すらも認めていない。アイダホ州は全米で2番目にモルモン教徒が多い州で、モルモン教では――ちなみにクラポ議員も信者――医療用マリファナには慎重ながら賛成の立場を取っているものの、嗜好品としてのマリファナには断固反対している。2018年の意識調査によると、アイダホ州民の79%が医療目的のマリファナを支持しているが、大多数は嗜好品としてのマリファナ使用の合法化にはいまだに反対だ。クラポ氏に揺さぶりをかけて法案を検討してもらおうと、マリファナ政策プロジェクトという団体では現在、2020年大統領選の投票用紙にマリファナ合法化法案を盛り込むよう署名活動を行っている。有権者の真意をクラポ氏に示すのが狙いだ。


左から、上院多数党院内総務ミッチ・マコーネル上院議員(共和党、ケンタッキー州代表)、マイク・クラポ上院議員(共和党、アイダホ州代表)、上院司法委員会のリンゼー・グラハム委員長(共和党、サウスカリフォルニア州代表)(Photo by J Scott Applewhite/AP/Shutterstock, 3)

「いまのところカギを握るのはアイダホ州の住民――クラポ議員の有権者でしょうね」というのは、ケヴィン・クレイマー上院議員(共和党、ノースダコタ州代表)。SAFE Banking法の共同発案者でもある。「結局のところ、委員長と委員会の上層部次第です。彼らの希望と合致すれば、本会議にかけられます」

ごく最近まで、クラポ委員長と彼の事務所はSAFE Banking法案に厳しい姿勢を取るのを避け、まずは規制物質法で大麻が第I群に分類されていることをどうにかするのが先決だ、と主張してきた。だが7月16日、上院銀行委員会の予定表に「大麻と銀行取引にむけた課題:外部専門家の視点で」と題した公聴会が、7月後半にいきなり組み込まれた。どうやら、クラポ議員率いる上院銀行委員会はSAFE Banking法に関する公聴会を設定し、下院での正式可決の前に、上院レベルで正式に議論するようだ。

SAFE Banking法賛成派にとっては朗報だ。法案可決に向けた大きな一歩でもあるものの、それで終わりにはならない。法案は委員会の最終決議まで漕ぎつけなくてはならない。そこで委員会の最終承認を経た後、ほぼ間違いなく上院司法委員会へと持ち越される。

Translated by Akiko Kato

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