フルカワユタカの表現と考察「2005年前後にフェスにいた人たちをどう楽しませるのかが大事」

ソロになって6年経った今、改めて大事なことに気付いた

―フルカワさんを見ていて思うのは、今は自分がシーンに戻ってきた姿を改めて見せるタイミングで、様々なチャレンジをするのはそのあとなんじゃないかと思うんですよね。

そうです。そこからですね。

―逆に、今のうちから同世代のバンドから敢えて距離をおいて、若いバンドと積極的に絡むことで突破口を見出すというのもどうなのかなっていう。

とっても難しいです。「(対バンに)入れて!」っていつもお願いして、たくさんの若手のなかに「フルカワユタカ」が毎回いるっていう(笑)。胡散臭さしかないですよね。時にはそういうことも必要だけど。

―あくまでもフルカワさん自身がどう思っているかが大事で、今はクリエイティブに見えなくても、先をしっかり見通せているならいいと思います。

うん、かつてのファンにもう一回聴いてもらうっていうのはすごく真っ当なことだと思っています。その上でまたジャッジしてもらうっていう作業は全然後ろ向きじゃない。

―そうですよね。フルカワさんにはそれなりに空白の時間があるし、フルカワさんの存在を一番に思い出してもらうべきなのはかつてのファンなのかなとは思います。

でも、みんな嫌がるんですよね。違うフィールドに行きたがる。僕もバンドを解散したあと、歌謡ロックっぽく、歌モノっぽくなろうとしたけど、ソロになって6年経った今、改めて大事なことに気付いたと思ってます。

―そして、『epoch』にたどり着いたと。

うん、だからこの作品でやってることはすごくわかりやすいと思う。

―つくってみて手応えは?

楽曲に対してはかなりあります。1枚目(『emotion』)と2枚目(『And I’m a Rock Star』)は本当に手探りだったし、前作(『Yesterday Today Tomorrow』)でTGMXさんと一緒に作業したことで思い出した部分があって。ドーパン(DOPING PANDA)時代に比べて雑にもなってたし、忘れてる部分もいっぱいあったなって。そういうことを思い出す作業を経て、今回はドーパンのときみたいにアレンジやメロディを緻密に考えたんですよ。曲の内容もいいし。







―今作に収録されているコラボ曲から得るものはありましたか?

ありましたね。あったけど、実はコラボ以外の曲の評価が高いんですよ。それは純粋にうれしいし、アーティストとしてはそうじゃないとマズい。なので、自分としては満足のいく評価を全体的に得られてます。

―僕は「セイギとミカタ」が好きです。ああいうちょっとコミカルな曲はフルカワさんにとって新しいですよね。

そうですね。元々、僕はユニコーンがすごく好きで、バンドに興味を持ったのはユニコーンがきっかけだったぐらいで。この曲、実はハヤシくんとのセッションで最初に提案したデモだったんですよ。ハヤシくんも「これ、いいね」って言ってくれてたんですけど、結局は「インサイドアウトとアップサイドダウン」になって。でも、これはすごくいい曲だったのでいつか形にしようと思ってました。

―そうだったんですね。

で、ハヤシくんも僕もウルトラマンとユニコーンが好きで、セッション中もその話で盛り上がってたんで、「ユニコーンの『大迷惑』みたいにコミカルな感じで、歌詞はウルトラマンがいいな」ってガワから考えました。今までそういう作り方はしたことがなかったんで、それがグーッとうまくまとまっていったのは気持ちよかったですね。だから、この曲は特に達成感があります。

―今作の幅を広げるのに一役買った曲になってると思いました。

これは本当にハヤシくんとやったからですよ。「インサイドアウトとアップサイドダウン」がニューウェーブっぽくて、メッセージ性もない空を掴むような曲じゃないですか。あのふざけた感じがあったからこそ「セイギとミカタ」を入れられたところはあります。

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