ホラーの巨匠スティーヴン・キング、トランプは自分の作品よりも「怖い」と語る

ニューヨークのブック・エクスポ・アメリカで話をする作家スティーヴン・キング。(AP/Shutterstock)

ホラー作家の巨匠である、スティーヴン・キングが最新のインタビューで、トランプ大統領について言及。1983年に映画化された作品『デッド・ゾーン』に登場する扇動政治家との類似点を聞かれると、「あれは私が作ったブギーマンだったし、そんな男をアメリカの政治舞台で絶対に見たくないと思ったよ」と語った。

作家のスティーヴン・キングは、ゾッとすること、身がすくむこと、背筋が凍ることがどんなものか知っている。もちろん物語を引っ張る不気味な人物や設定も熟知している。つまり、キングが自分の作品よりも怖いと呼ぶ対象物なら、人々の身の毛がよだつこと間違いなしだろう。動画ニュースサイトNowThis Newsが公開した新しい動画でホラーの巨匠が怖いものを語っている。

この動画で、ドナルド・トランプが大統領をしている現実はキングの作品よりも怖いと思うかとたずねられて、キングは「この質問への簡潔な答えはイエスだ。怖いと思うよ。自分の作品よりも怖い」と答えている。

そして、キングは1979年に発表され、1983年に映画化された作品『デッド・ゾーン』との類似点をあげた。このSFスリラー作品の中で、扇動政治家となった「不動産詐欺師」はホワイトハウスの主人になろうとする。

「政治の主流とは全く違うところから、アメリカ国民の気持ちを手に入れるためなら、それが何であれ喜んで言うというタイプの政治家が誕生するのはあり得ると思っていた」とキング。

まずキングは、『デッド・ゾーン』のメインキャラクターであるグレッグ・スティルソンが、集会での言動が災いして最初は何かの冗談と受け止められていたことを説明した。そして、スティルソンが暴走族を雇って、集会で「やじを飛ばす連中」を抑え込んだやり口に言及した。彼の話はトランプの大統領選の選挙キャンペーンを思い起こさせる。

さらに、キングは、そういうストーリーを書いたのは、予言や予感ではなくて、アメリカの民衆を観察していると、いつの日かグレッグ・スティルソンのような人物が権力の座にのし上がる可能性があると思えて仕方なかったせいだ、と説明した。

「アメリカの投票者たちは、これまで右翼的な『アメリカ・ファースト』政策を行う何人ものアウトサイダーに魅力を感じてきた。あのキャラクターがトランプに似ているとしても、自分が作ったキャラクターだから残念がってはいられない。ただ、あのキャラクターは自分にとってのブギーマンだったし、そんな男をアメリカの政治舞台で絶対に見たくないと思った。しかし、どうもグレッグ・スティルソンのような男がアメリカ合衆国大統領になっているようだ」と、キングは述べた。


Translated by Miki Nakayama

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