Spotifyの3倍のスピードで成長を続けるAmazon Musicの脅威

AmazonのサブスクリプションサービスAmazon Musicは、SpotifyやApple Musicよりも遥かに早いペースで新規ユーザーを増やし続けている。(Photo by Evan Agostini/Invision/AP/Shutterstock)

Amazonが2016年にローンチしたスタンドアローンのストリーミングサービスは、当初業界の大部分からSpotifyのクローンのひとつと揶揄され、同分野に参入するには遅すぎると考えられていた。しかしeコマース界を牽引する同社によるそのサービスは、実のところ同分野において大いに存在感を増しつつある。

Amazonが毎年実施しているPrime Dayセールに合わせて、同社はテイラー・スウィフト、シザ、デュア・リパ等が出演するコンサートを開催した。Finacial Times紙によると、同社によるAmazon Music Unlimited(Prime Musicにおける幾つかの制限をなくしたサービス)のユーザー数は、同コンサートの開催直後に前年比70パーセント増を記録したという。登録ユーザー数だけを見れば、ストリーミング市場はSpotifyの一人勝ち状態だが、同社の成長率は25パーセントにとどまっている。MIDiA Researchの音楽アナリストMark Mulliganは、Financial Times紙に次のように語っている。「Amazon Musicはストリーミング市場におけるダークホースであり、Apple MusicやSpotifyのユーザーとは異なる、よりライトな音楽ファンを取り込むことに成功しています」

その急成長の秘密は何なのだろうか? 同サービスがターゲットにしているのは、SpotifyやApple Musicを頻繁に利用している若い音楽ファンではない。彼らが取り込もうとしているのはより年配の消費者、特にレコード店に足繁く通った世代とストリーミング世代の狭間にいる人々だ。MIDiAによると、Spotifyでは55歳以上のユーザーが全体の5パーセントにとどまっているのに対し、Amazon Musicでは全体の14パーセントを占めている。

音楽を手軽に楽しみ、スマートスピーカーがラジオ代わりに使えることを重視するようなライトユーザーを取り込むことの重要性を、Amazonはよく理解している。同社の2つのストリーミングサービスは目新しさを求めず、あくまで実用性にフォーカスしている。Amazon Music Unlimitedの月額は通常10ドルだが、Prime会員であれば月8ドルで利用できるほか、Echoデバイス限定であれば月4ドルで利用できるなど、他社よりも柔軟かつリーズナブルな内容となっている(Prime会員数はアメリカだけで1億人を超えている)。

ライバル企業が新たな機能やインタラクティビティの向上で他社と差異化を図ろうとする中、Amazonの首脳陣はPrimeであれUnlimitedであれ、Amazon Musicは「メインストリームの音楽ファンを対象とした、メインストリームのストリーミングサービス」であると明言している。壮大なヴィジョンはなくとも、そのビジネス戦略は見事に功を奏していると言えるだろう。

Translated by Masaaki Yoshida

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