ローリングストーン誌と8人の識者が選ぶ2019年上半期ベスト

5.若林恵



1971年生まれ。編集者。2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。著書『さよなら未来』(岩波書店・2018年4月刊行)、責任編集『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』(黒鳥社/日本経済新聞出版社)。https://blkswn.tokyoTwitterFacebookで「blkswn jukebox」と題し、気になる新譜を毎日紹介。

◎ベスト・アルバム

●マネキン・プッシー『Patience』
●ドーン・リチャーズ『new breed』
●ゴールドリンク『Diaspora』
●アリ・レノックス『Shea Butter Baby』
●リファファ『Jaago』
●ファイアー!・オーケストラ『Arrival』
●キャロライン・デイヴィス、マット・ミッチェル、グレッグ・ソーニア『Alula』
●クレヴァー・オースティン『Pareidolia』
●ジェイミー・サフト、スティーヴ・スワロウ、ボビー・プレヴァイト『You Don’t Know The Life』
●エンジェル・バット・ダヴィド『The Oracle』



◎ベスト・ソング

●ピュア・ベイシング・カルチャー「Devotion」
●ジャミーラ・ウッズ「BASQUIAT feat. Saba」
●ベビー・ローズ「Borderline」
●コフィー「Rapture (Remix)」
●ケイト・テンペスト「People’s Faces」





◎コメント

ビヨンセとビッグ・シーフは神棚行き。なので除外。次点でゴールドリンクとドーン・リチャーズ。最も再生回数が多かったのはアトランタの新生ベビー・ローズのシングル3曲とジャマイカのライジングスター、コフィーだろうか。ロックでは、マネキン・プッシーが群を抜く出来。ジャズ/クラシック界隈は、色々と聴きモノはあったけれど繰り返し聴いたのは、このあたり。名作だからといってそれが自分に寄り添う一枚になるわけでもなく、結局変わり種のような作品を愛聴してしまう。シカゴのレーベルInternational Anthemは相変わらずの快調ぶり。ここではエンジェル・バット・ダヴィドのオブスキュアな作品を。ハイエイタス・カイヨーテのドラマーのソロプロジェクト、クレヴァー・オースティンもDIY感溢れる愛すべき作品だ。個人的な大発見は、ニューデリーの鬼才リファファと彼が率いるバンド、ピーター・キャット・レコーディング・カンパニー。インドの新しい才能の活躍はジャズ界隈でも目覚ましいが、音楽偏差値の高いこういう輩が世界の辻々にいるのかと思うと、音楽聴いてる時間がほんとに足りないことを痛感。世界は狭くなっているというけれど解像度が上がった分だけ、広くなってもいるのだ。

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