米大統領選、もっとも多く選挙資金を集めたのは誰? ウォーレン候補が草の根運動で躍進

2019年5月13日、2020年大統領選挙活動の一環で行われた全米教員組合主催タウンホール集会で、記念撮影に応じる大統領選民主党候補のエリザベス・ウォーレン上院議員(写真右)(Photo by Matt Rourke/AP/Shutterstock)

正式な公開期日は7月15日だが、2020年米大統領選の各候補者の間ではすでに、2019年第2四半期に集めた選挙資金争いが始まっている。

今期もっとも選挙資金を集めたのはダントツでドナルド・トランプ大統領。共和党全国委員会の力添えもあって、4~6月で1億500万ドルの資金を集めた。再選資金の目標額は10億ドル。これだけ大量の資金が集まったので、今後はミネソタ州やニューメキシコ州、オレゴン州など、伝統的に民主党寄りとされる不利な選挙区に狙いを定めていくとトランプ陣営は豪語している。

一方の民主党では意外にも、ピート・ブーティジェッジ氏が今期もっとも多くの選挙資金を集めたようだ。インディアナ州サウスベンド市長であるブーティジェッジ氏いわく、彼の選挙陣営は30万人近い献金者から1口平均85ドル、合計250万ドル近い資金を集めたとのこと。

急進派の対立候補と違い、ブーティジェッジ氏は大口献金者を頼りにしており、マーサズ・ビンヤード&ナンタケットなど50近い資金集め集会に顔を出している。支持率でのブーティジェッジ氏の勢いは、有色人種の有権者層を取り込むのに苦労しているためか頭打ちとなった感がある。だがすでに2200万ドル以上の資金を抱え、長期戦への備えは十分だ。

ジョー・バイデン氏は、1回目の討論会では不安定な出だしとなったものの、全国支持率ではいまだ首位。今期の献金額は2150万ドルと意外に少ないが、だからといって元副大統領が若手ピート市長に出し抜かれたわけではない。

他の候補者が第1四半期から選挙活動をスタートしたのに対し、バイデン氏は4月25日にようやく正式に出馬を表明した。だがバイデン氏の第2四半期の献金総額には、出馬表明後の24時間で集まった630万ドルのご祝儀献金も含まれている。それでもバイデン氏は幅広い層から支持を集めており、大口献金にも事欠かない。バイデン陣営に献金した人の数は26万5000人、そのうち97%は1口200ドル未満だ。

おそらく、今期もっとも健闘したのはエリザベス・ウォーレン候補だろう。大口献金者が政治への関与を見返りに多額の寄付をする従来の資金集め集会を一切行わないにも関わらず、マサチューセッツ州代表上院議員は38万4000人から1910万ドルの選挙資金を集めた。1口当たりの献金額は平均28ドルだ。

慣例的な大口資金集めの集会を行わないとするウォーレン議員の決断はかなりの賭けだったが、逆にそれが功を奏したようだ。バーニー・サンダース議員も同じく草の根的な資金集めを行っているものの、彼のほうが2016年の大統領選で全国に築いた支持基盤を抱えて優位なはずなのに、ウォーレン議員のほうがサンダース議員よりも多くの資金を集めている。

カマラ・ハリス議員は第1回民主党討論会で見事なパフォーマンスを見せたかもしれないが、選挙資金争いでは出遅れ気味だ。カリフォルニア代表上院議員は今期、約28万人の献金者から1200万ドルを集めたが、そのうち200万ドルは討論会終了後の勢いに乗じたものだ。彼女自身とくに資金を呼び掛けているわけではないが、第1・第2四半期を合わせた彼女の資金総額(2300万ドル)は、ブーティジェッジ市長の今期の合計額にも満たないということは注目すべき点だ。

他の候補者は資金総額について口を閉ざしている。だが民主党の下位候補にも資金総額を公表した者が数人いる。

コロラド州代表上院議員、マイケル・ベネット候補は280万ドル。

モンタナ州知事、スティーヴ・ブロック候補は200万ドル。

噂によると、苦戦を強いられている元コロラド州知事のジョン・ヒッケンルーパー候補は、中道派にアピールする戦略にもかかわらず、100万ドルしか集められなかったようだ(選挙活動が残念な結果に終わった責任は自分にあるとしたヒック候補は、「富裕層の献金者とはウマが合わない」性分であると認めた)。

Translated by Akiko Kato

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