鈴木涼美が感じる、男と女をめぐる違和感の正体

鈴木涼美(Photo by Shuya Nakano)



「男性は変化に弱くて、手に入れたものを無くした時のダメージがとにかく大きい」

仕事柄、家にこもって原稿を書くことが多いという彼女。以前はずっと、紙巻きのタバコをくわえながらパソコンの前に座っていたのだが、最近は加熱式タバコを愛用するようになった。

「最近、タバコを吸う若い女子が増えてますけど、でもやっぱり妊娠していたり、子供連れだったりすることも多いので、彼女たちを家に招くのにタバコ臭いのはイヤじゃないですか。だから、家の中では半分くらいを加熱式タバコにしてますね。これだとタバコが苦手な人とも一緒にいられる」

そんな彼女の新刊『女がそんなことで喜ぶと思うなよ』は、恋愛や結婚、不倫、ハラスメント、フェミニズムなど、男女を取り巻く「あれこれ」について、30代に突入した鈴木が舌鋒鋭く切り込んだコラム集。タイトルは、「30代の女ならチョロイでしょ、というスタンスで口説いてくるおじさんに遭遇して、ポロッとどこかに書いた一言」(あとがきより)だという。

「『男がムカつく』という話を書きました(笑)。おじさんだけじゃなくて、若い男もそう。自分にしか興味がなくて、女を抱くフリしてみんな自分を抱いているでしょう? しかも褒めてあげないとヘコむし、『ハッキリ言っていいよ?』って言われたからハッキリ言えば落ち込むし、メンドくせえなって(笑)。変化に弱くて、手に入れたものを無くした時のダメージがとにかく大きい。『いつまで引きずっているんだろう、この人』って思うんですよね。お金にしろ女にしろ、もうなくなっちゃったものはしょうがないじゃん。なのに、そういうのを受け入れられない人が多いと思いませんか?」

確かに。男の方が女性よりも「こうあるべき」が強く、そこから外れた生き方を「負け組」などと切り捨てる価値観にとらわれ、そこで苦しんでいる人が多い気がする。中年男性の自殺率がぐっと増えるのも、そうした傾向と無関係ではないはずだ。

「女の人って割と相手にちゃんと興味を持つと思うんですけど、男の人って『自分が何者なのか知りたい』という感じがすごく滲んでいますよね。ついつい『自分が思っているほど大した男じゃないよ?』って言いたくなっちゃう。だから私、男に嫌われるし私も嫌い(笑)。そういう男たちと私で、女友達を取り合っているんです」

そう言って笑う。ただ、本当に心がすり減るくらい好きになるのは、やはり男性だという。いつも原稿で、清々しいくらい男をコテンパンにのしている彼女が、珍しく自身の恋愛観についても語ってくれた。

「恋愛感情って破壊力がすごいじゃないですか。女の人に対してはそんな気持ちにならないから、一緒にいてラクなのかも。私はそこそこ恋愛体質なので、なんか、自分が好きっていう一線を超えてしまうと、私は盲目になっちゃう。半年くらいは何も見えないメガネをかけている感じです。その間の私の、すごく客観性のない彼への分析や、合理性を欠いた行動には目をつぶっていただきたいですね(笑)。ただし半年くらい経つと、いきなり全てが見えるようになっちゃうんです。そうすると『あ、逃げなきゃ』って(笑)。だから男の人、続かないんですよね。半年間は死ぬほど愛してあげてるので、30年かけてちょっとずつ愛してあげる女の子の愛と、同じくらいはあげている気はしますけど。そんなだから、男の人にすごく恨まれますよ。元カレで連絡取れるくらいの関係の人、道で偶然会っても殴りかかってこないくらいの関係の人は、1人か2人くらい(笑)。あとは全員が私を『出来れば殺したいリスト』に載せていると思う。男の人の魅力って、野菜と同じくらい賞味期限が短いんですよね……」


Photo by Shuya Nakano

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