「パンク」史上最高のアルバム40選

左からビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイ)、ラモーンズ、パティ・スミス(Photo by Ebet Roberts/Redferns/Getty, Ian Dickson/Redferns/Getty, Dick Barnatt/Redferns/Getty)

2コードと世に物申すアティテュードで、ロックの未来を切り拓いたはみ出し者たち。グリーン・デイ、ラモーンズ、パティ・スミスまで、音楽史に名を刻んだパンクアルバム40枚を紹介する。

1976年、クイーンズ出身の冴えない4人の若者がニューヨークのバウアリーで異形のノイズを発した瞬間、パンクロックは誕生した。彼らが火を点けたその革命は、ロックンロールの歴史を真っ二つに分断した。シンプルであることに徹底的にこだわるパンクロックは否定の手段として誕生したが、その多様な音楽性と感情を爆発させるツールとしての有効性は今も失われていない。ロック史の金字塔となったラモーンズのデビューアルバム発売40周年を記念し、史上最高のパンクアルバム40枚を以下に掲載する(編注:US版記事は2016年初出)。

ラモーンズがパンクロックの始祖であったとしても、偉大な先達たちなくして彼らは存在しなかった。ストゥージズ、ザ・ニューヨーク・ドールズ、ペル・ウブ、パティ・スミス等、本リストにはパンクという言葉が生まれる以前から(音楽性の面よりも)そのスピリットを体現していたアーティストたちの作品も含まれている。「そもそもパンクとは何なのか?」という昔ながらのテーマについても、ここでは敢えて触れていない。ピストルズやクラッシュ、ブラック・フラッグ、ザ・ディセンデンツ、マイナー・スレット、ハスカー・ドゥ、バッド・ブレインズ等といったバンドのみならず、本リストではマルクス思想とディスコを融合させてみせたギャング・オブ・フォー、凍りつくようなゴシックの世界観を打ち出したジョイ・ディヴィジョン、異形のニューウェーヴを鳴らしたディーヴォ、モッズを蘇らせたザ・ジャム、レゲエに暴力性を持ち込んだザ・スリッツ、ギターサウンドをアートの領域に持ちこんだテレヴィジョンやソニック・ユース、21世紀にストイックなノイズの轟音を鳴らすホワイト・ラングまでが名を連ねている。アナーコ・パンクの伝道師たるクラスはそのキャリアを通じて、ブリンク182のような商業的バンドにパンクを汚させまいと戦い続けた。両者にはそれぞれの魅力があり、どちらも本リストに登場している。

バンドではなく「アルバム」を対象としていることから、本リストでは数多くの偉大なパンクバンドが非選出となっている。ザ・サークル・ジャークス、アドルセンツ、フィアー、ザ・ビッグ・ボーイズ、ザ・ディッキーズ、ザ・ディックス、そしてあのダムドさえも登場していないのは、本誌編集部の記者たち全員を納得させる完璧な1枚が存在しないと判断されたためだ。結果的に本リストでは、音楽性の面ではやや逸脱しながらもパンクのスピリットを体現しているレコードが多く選出されることになった。「自由こそがパンクロックの意味であるべきだ」 『ネヴァーマインド』がアメリカのメインストリームを席巻した1991年に、カート・コバーンはそう語っている。本リストはその自由がどこへ向かったのかを示す指標となるはずだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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