「パンク」史上最高のアルバム40選

7位 ミニットメン『Double Nickels on the Dime』(1984年)


カリフォルニアの港町サンペドロ出身のワーキングクラス3人組の魅力は、飾り気のなさと能弁さ、そして「The Roar of the Masses Could Be Farts」といったタイトルに見られるような、ユーモアと鋭い政治批判を同居させるセンスだ。2枚組全45曲からなるこの多様なクラシックの根幹にあるのは、ギタリストのD・ブーンとベーシストのマイク・ワットの長年に渡る友情、そして2人が共有するパンクの価値観だ。「History Lesson, Pt.2」において、ブーンは「俺たちのバンドが君の人生を変えることだってあり得る」と歌ってみせる。本作はジャズやフォークへの関心も垣間見せているほか、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、スティーリー・ダン、ヴァン・ヘイレン等のカバーを収録している。本作の果てしない折衷ぶりは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやペイヴメントにも通じるものだ。しかし彼らの名前が世に知れ渡ろうとしていた1985年、バンドにとって最後のアルバムとなる『3-Way Tie (For Last)』のリリース直後に、ブーンは不運にも交通事故でこの世を去ってしまった。





6位 ワイアー『ピンク・フラッグ』(1977年)


全21曲35分、ワイアーのデビュー作であるこのアルバムほど、パンクのラディカルなまでのシンプルさが秘めた無限の可能性を明示した作品は存在しない。ハードコア版ルービック・キューブというべき「12 X U」、タブロイドの悲劇を28秒間に凝縮した「フィールド・デイ・フォー・ザ・サンデイズ」、そしてパンク史上屈指のラブソング「フラジャイル」まで、本作に収録された楽曲はR.E.M.やスプーン、マイナー・スレットを含む無数のバンドにカバーされている。ブラック・フラッグのヘンリー・ロリンズは、本作を「完璧なアルバム」と評している。






5位 ギャング・オブ・フォー『エンターテイメント!』(1979年)


ジェームス・ブラウンと初期ヒップホップをラモーンズのミニマリズムで結びつけたかのようなギャング・オブ・フォーは、ワーキングクラスの正義を追求する革命的存在だった。リーズ出身の4人組は信条とするマルクス主義を、怒れるファンクと悪意に満ちたディスコのシンコペーション、そしてアンディ・ギルによる剣さばきのようなギターをもって表現してみせた。




Translated by Masaaki Yoshida

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