「パンク」史上最高のアルバム40選

10位 ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』(1991年)


「自由こそがパンクロックの意味であるべきだ」オルタナロックの救世主と崇められることを忌み嫌ったカート・コバーンは、当時のインタビューでそう答えている。彼自身はその磨かれたサウンドに嫌悪感を示していたが、『ネヴァーマインド』はアメリカのメインストリームに投げ込まれた手榴弾かのごとくシーンを席巻した。故郷のワシントン郊外に住むメタルキッズたちが楽しめるパンクという、かつて彼が思い描いたヴィジョンを具現化してみせた本作は、中学生たちの社交ダンス会場をモッシュピットへと生まれ変わらせた。






9位 X『Los Angeles』(1980年)


ロサンゼルスのハードコアシーンにおいて、アート寄りのXはアウトサイダーだった。夫婦でもあったジョン・ドゥとエクシーン・セルヴェンカは、ビリー・ズームのオンボロギターが鳴らすロカビリーサウンドに乗せて、スピード狂の精神異常者や憔悴しきったハリウッドの映画監督たちという、ロサンゼルスの負の側面について歌った。バンドのプロデュースを手掛けたのは、ドアーズのレイ・マンザレクだ。本作に収録された「ソウル・キッチン」のカバーは、天国のジム・モリソンをおののかせたに違いない。






8位 ブラック・フラッグ『ダメージド』(1981年)


「俺たちは! うんざりしてるんだ! お前らの迫害に! 止められるもんなら止めてみろ! ムダムダムダァ!」歩く爆竹ことブラック・フラッグは、グレッグ・グリンの発狂したかのようなギター、そしてヘンリー・ロリンズの筋肉に裏付けされた毒のある怒りをもって、ロサンゼルスにおけるハードコアサウンドを確立してみせた。『ダメージド』は不思議なことにメジャーレーベルからリリースされることになっていたが、結局レーベル側は「保護者たちのひんしゅくを買う」という理由で同作の発売を拒否した。実際のところ、本作は保護者たちのみならず、警察、テレビ、ビール等、ありとあらゆるものに唾を吐きかけた。




Translated by Masaaki Yoshida

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