「パンク」史上最高のアルバム40選

13位 ハスカー・ドゥ『Zen Arcade』(1984年)


ミネソタ発のパワートリオは、崩壊した家庭を飛び出して大都市を目指す少年の物語を描いたレコード2枚組の本作で、スリーコードから成るハードコアにおけるあらゆるルールを犯した。情熱のほとばしるハードコアサウンドをバックに、ボブ・モウルドとグラント・ハートが交互に喚き散らしたかと思えば、サイケデリックやアコースティック・フォーク、そしてフィナーレを飾る14分のフィードバックインスト「Recurring Dreams」まで、本作はパンクの定義を押し広げてみせた。






12位 パティ・スミス『ホーセズ』(1975年)


パンクの女王はパンクの勃興前から存在していた。ロウアーイーストサイドの住人だったその詩人は、60年代のガレージロックとランボーの影響を融合させることで、唯一無二の恍惚としたヴィジョンを確立してみせた。ギタリストのレニー・ケイ、ピアニストのリチャード・ソール、ドラマーのジェイ・ディー・ドハーティ(加えてCBGBの常連仲間であり、ジム・モリソンのトリビュート曲「ブレイク・イット・アップ」を共作したトム・ヴァーライン)等と共に、彼女はニューヨークのシーンを一躍世界に知らしめた。彼女のレコード会社が嫌ったロバート・メイプルソープが撮ったロック史に残るカバー写真は、あらゆる境界線を無効化するような存在感と、本作の楽曲にも劣らない美しさを誇っている。






11位 ザ・バズコックス『シングルス・ゴーイング・ステディ』(1979年)


マンチェスター出身のバズコックスは、「Orgasm Addict」や驚くほど冷静に別れを受け止める「Oh Shit!」(「自分はクソだと認めやがれ、お前はクソだ」)まで、男性ホルモンがもたらす苦悩を抗い難くキャッチーなメロディに乗せることで、ポップパンクという壁を強行突破した。秘密兵器と呼ぶには目立ちすぎるパンク界の至宝ジョン・マーの「Ever Fallen In Love?」におけるドラミングは、まるで悲劇を招いたセクシュアリティについてのセミナーの教壇に立っているかのような緊迫感に満ちている。




Translated by Masaaki Yoshida

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