オーディエンスとぶつかり合うHYDEの魂、「刹那」の美学に酔いしれる

ライブも残すところあと1曲。HYDEは「今日も楽しい幸せをありがとう」と感謝の言葉を伝えると、スマホのライトを付けてほしいと呼びかける。そして「普通の日常を楽しみましょう」という一言を添えて、ラストナンバーとともに2時間近くにわたるライブをドラマチックに締めくくった。

年々激しさが増しているHYDEのステージを観ると、正直このクオリティを保ち続けるのには体力的、精神的にも相当なものがあるだろうと誰もが思うはずだ。彼は最近のインタビューでよく、「残された時間」について言及している。これは主に海外への挑戦に対しての言葉だったが、そこには「こういったヘヴィな音楽を続けるのにも、タイムリミットは用意されている」という意味も含まれている。この日ステージに立ったHYDEは、一瞬一瞬を無駄にすることなく、常に魂を燃やし続けオーディエンスとぶつかり合っていた。アンコール中、彼は観客に向けて「出し惜しみするなよ!」と叫んだが、それは自分自身に向けての言葉でもあったのかもしれない。


Photo by OGURUMA TOSHIKAZU

だからこそ、我々も彼がステージで灯す炎を一瞬たりとも見逃したくないし、その彼に対して本気でぶつかり合いたいし、そんなHYDEのステージを見逃さないでほしいと多くの人に伝えたい……そんなことを思わずにはいられない、圧巻で唯一無二のステージだった。




『ANTI』
HYDE
Universal Music Japan
発売中




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