RCサクセションの音楽性から読み取るローリング・ストーンズの影響

没後10年が経つも今だに多くのアーティストに影響を与える忌野清志郎(Ⓒ阿部高之)

岡本:RCが休止してから清志郎さんはブッカー・T&ザ・MG’sとソロ・アルバム『Memphis』を作りましたよね。僕はそこではじめてオーティス・レディングの存在を知りましたし、清志郎さんが最も影響を受けたヴォーカリストがオーティスだということを初めて知ったんです。当時そういうファンは結構多かったんじゃないかと思うんですよね。RCは清志郎さんとチャボさんがミック、キースのイメージでストーンズっぽさを感じていたけど、清志郎さん個人だとオーティスからの影響の方が大きいのかなって。

高橋:清志郎さんがチャボさんをRCに誘ったときに、「Angie」をBGMにして電話したのは有名な話ですが、「俺がミックをやるからチャボはキースをやってよ」と言ったというエピソードがあります。きっと『Love You Live』(1975年の北米ツアーを中心にライブが収録されている)の頃の映像をすごく観ていて、「売れたい」という気持ちが強くあったのだと思います。メンバーにフュージョンのギタリスト小川銀次さんとニューウェーブのG2を入れて、ジャンルレスでチャーミングなバンドとしてLove You Live』の頃のローリング・ストーンズをモチーフにしたライブをやっていました。

アルバム『Love You Live』には入っていないんですけど、「Outta Space」という曲で、サポート・メンバーのビリー・プレストンとミックが2人でダブルステージの上に乗って踊って、最後に下に降りてきてミックが空中ブランコに乗ってステージに入るっていうシーンがあるんです。RCは『THE KING OF LIVE』でそのままやっている。そのときのRCのステージもダブルステージになっていたので、「ダンスパーティー」でメンバー紹介をした後、「NEW SONG」でG2と清志郎さんがビリー・プレストンとミック・ジャガーのように踊る。そのままモチーフにしています(映像作品『From The Vault - L.A.Forum Live In 1975』で見ることができる)。あとは、ステージの床から大きなバルーンが出てきたり、最後にお客さんにバケツの水をかけるのも、そのままやってましたね。


岡本:一番ブームになっていた頃のRCのライブは、もろにストーンズのステージを踏襲したものだったんですね。

高橋:ライブは『Love You Live』に絞っていたと思います。曲のモチーフとしては、後期だと『Baby a Go Go』収録の「あふれる熱い涙」で、チャボさんが『It’s Only Rock’n Roll』の4曲目の「Till The Next Goodbye」のフレーズを入れています。

岡本:よくそんなところに気が付きますね(笑)! さすがです。

高橋:すごくセンスが良い。だから、そういう影響はRCがエレキバンド編成になってからの10年間、最後まであったと思いますよ。だから、RCとは何かと言われたら、音楽的な意見は色々とあると思いますけど、僕はローリング・ストーンズを踏襲して最も成功したバンドの1つだと思います。有賀(幹夫)さんがおっしゃっていたのは、世界でそういうバンドは2つしかいなくて、それはRCとエアロスミスであると。あのフォーマットを踏襲して成功したバンドは他にはいないんじゃないでしょうか。

岡本:清志郎さんの曲作りとしては、ビートルズからの影響も大きいと思いますが、そのあたりはどう思われますか。

高橋:石坂(敬一)さんが、「世界3大ヴォーカリストはハウリン・ウルフ、ミック・ジャガー、忌野清志郎」と言っていたように、ジョン・レノンやポール・マッカートニーとは違う、黒人的なヴォーカル・スタイルがあったので、ビートルズから影響は受けていたとは思いますけど、全部それをストーンズという包装紙にくるんで出していたと思います。

岡本:それは、いわゆる暗黒時代から抜け出してエレキ編成のロックバンドとしてブレイクするために?

高橋:売れるためだったというところは、若干あったと思います。

岡本:メイクするようになったのはKISSからの影響という説もありましたけど、本当なんですかね?

高橋:チャボさんはそれを聴いて驚いてました。「それは新説だな」って(笑)。他の説として、当時、新井田さんがドラムを叩いていたミスタースリムカンパニーというミュージカル劇団がいて、ある日、彼らの公演を観に行ったら革ジャンにリーゼントでメイクしているのを見て、これはいいなと思ったらしいです。でも、本人はそれを全く覚えていなくて、メイクはKISSからの影響だって言ってました。

岡本:にわかには信じがたいですが(笑)。

高橋:当時のRCは、チャボさんも新井田(耕造)さんも、みんなメイクしてました

岡本:『BEAT POPS』のジャケットなんかは全員どぎついメイクしていますもんね。

高橋:あれこそ、『It’s Only Rock’n’Roll』『Black and Blue』『Love You Live』のストーンズだと思います。キースもメイクしていたし。まだ「リチャーズ」じゃなくて、「リチャード」名義時代のキースですね。影響を受けていると思いますよ。


◾️関連記事
第2回「ローリングストーンズから影響を受けた日本のバンドと比較する忌野清志郎の特異性」
第3回「忌野清志郎がレコーディング作品を通して現代に残したものとは?」



 <書籍情報>




『I LIKE YOU 忌野清志郎』

岡本貴之 編
有賀幹夫 / 太田和彦 / zAk / 佐野敏也 / 角田光代 / 近藤雅信 / 高橋靖子 / 高橋 Rock Me Baby / 蔦岡晃 / 手塚るみ子 / のん / 日笠雅水 / 宗像和男 / 森川欣信 / 百世 / 山本キヨシ / 渡辺大知 (五十音順)

発売元:河出書房新社
現在発売中
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1400円
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309290188/

 

 

Rolling Stone Japan 編集部

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE