平手打ち級の衝撃Courtesy John Varvatos
「面白いスタイルを持つ、面白い連中とくれば、やはりジミ・ヘンドリックスだ。黒人のジミは、ブルースをベースにしたものすごくヘヴィーなロックンロールを演奏していた。彼のバンドには大きなアフロヘアの白人ベーシストと、“アフロ風”と言っていいくらいフワフワのウェーブヘアの白人ドラマーがいた。彼らは本当の意味で音楽とスタイルの両方から世間を沸かせた。彼らみたいな格好をする人なんていなかった。ロックンロールに対して平手打ちを食らわせたも同然だ。その頃のバンドは、ビートルズのように全員がブラックスーツといった似た服装をしていたから。そこに突然ジミ・ヘンドリックスがミリタリージャケットとスカーフに独特のヘアスタイルで登場した。あんなスタイルは生まれて初めて見たよ」
髪という別の意思を持つ存在Courtesy John Varvatos「ヘアスタイルに関する章の写真だ。1971年だったかな、その頃、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントはウェーブのかかったふんわりとしたヘアスタイルをしていた。本にも記したように、彼の髪は別の意思を持つ存在だった。そして、そこにはとても美しい何かがあった。ロバートを見た女性はみんな彼にメロメロになった。ロバートは独自のヘアスタイルを持っていたんだ。その頃流行っていた、ややシャギーなスタイルには従わなかった。思いのままカールスタイルを謳歌していた」
偉大なるシルバーのアビエイターサングラスCourtesy John Varvatos「これはメガネと、メガネをかけることでその人のパワーと個性にどのような影響があるかについて述べた章の写真だ。サングラスとメガネは、いまでは音楽とファッションにおいて重要な要素だ。この章では、エルトン・ジョン、パティ・スミス、エルヴィス・コステロのようなアーティストを取り上げている。そのなかでも特に目を惹く存在がルー・リードと彼のシルバーの美しいアビエイターサングラスだ。ロックはもちろん、どの年代を見ても、ルー・リードのシルバーミラーレンズの影響が垣間見られる。その頃の人々はファッション目的でアビエイターサングラスをかけていなかった。でも、ルー・リードはそうだった。そして誰もが『あのレンズの後ろには何があるんだろう?』、『何を見ているんだろう?』と好奇心を抱いた。ミラーレンズのアビエイターサングラスには一種のオーラと神秘がある」
テーラーメイド風グラムロックCourtesy John Varvatos「この写真は私のお気に入りの一枚だ。1970年代初頭のグラムロック全体の雰囲気をとてもうまく捉えている。その頃のグラムロックはテーラーメイドが主流だった。私にもっとも影響を与えた時代でもある。スタイルだけじゃない。マーク・ボランとT・レックスは、ジェンダーにとらわれない、デヴィッド・ボウイとは一線を画すグラムロックを追求し、その頃はファッションのスタイルという点でも様々なことが起きていた。実に面白い時代だった。ボウイとミック・ロンソンが写っているCreem誌の写真をデトロイトのベッドルームに飾っていた。私と生涯をともにしてきた写真のひとつだ。オリジナルプリントをフォトグラファーのミック・ロックから購入したんだ。後に、彼とはとても親しくなったよ。」