どうなる?米大統領選、金持ち優先主義のトランプの勝利はあるか?

エアフォースワンの機内で同行した記者団に身振り手振りで語るドナルド・トランプ米国大統領(2018年10月6日) Pablo Martinez Monsivais/AP/Shut


医療制度に関して候補者の多くは、メディケア・フォー・オール(高齢者・身障者向け公的医療保険制度の全国民への適用)を支持している。ブッカーとカマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)は、サンダースによるメディケア・フォー・オール法案の共同起草者だ(しかし2人は、法案支持のトーンをやや落としている)。

サンダースですら到達していない分野に踏み込んだ候補者も何人かいる。アントレプレナーのアンドリュー・ヤンは、「自由の分配」と呼ぶ全国民を対象とした月1000ドル(約10万円)の最低所得保障制度(ユニバーサル・ベーシック・インカム)を提唱した。

「自由の分配に反対できる者がいるだろうか?」と彼は言う。「そのようなバカ者は存在しないだろう。」

トランプによる介入主義的ポピュリズムは、イデオロギーというよりも日和見主義的で、テントの中で不平不満が聞こえたらラクダを分け与えたアジアの王族のやり方に似ている。2019年の初めトランプは、ルイジアナ州のLNGプラントへ向かう途中でカルカシュー川に掛かる橋を渡った。橋から受ける印象が悪かったトランプは最終的に、選挙に勝利した暁にはルイジアナ州へ新しい橋の建設費用を支出すると約束した。また最近、190億ドル(約2兆430億円)のフロリダ半島への災害復興支援法案に署名。さらに、中国との貿易戦争が米国の農業関連産業に対する報復関税につながる恐れが出てくるとトランプは、農場主への支援として160億ドル(約1兆7200億円)を支出した。

トランプは、過去から現在に至るあらゆる反体制キャンペーンからレトリックを拝借することで、ポピュリストとしての地位を確立している。ロン・ポールによる不介入主義から、非政治家のハーマン・ケインによる「既存の枠にとらわれない」政策、さらにはサンダースからもヒントを得ているのだ。トランプは遊説中によくサンダースを称賛したが、明らかにヒラリー・クリントンを攻撃するひとつの手段だった。トランプは2016年4月のある時、バーニーはヒラリーについての「真実を語っている」と述べている。

大統領に就任して以降トランプは、「忘れられた米国人」への献身を繰り返し口にしてきた。皮肉なことにこれは、2008年後半の民主党大統領予備選挙でヒラリー・クリントンが掲げた、怒れる白人中産階級の有権者を念頭に置いた選挙キャンペーンから借用したテーマだ。マーク・ペンの考え出した「目に見えぬ米国人」に関する演説は、ペンシルベニア州におけるヒラリー・クリントンの勝利を後押しし、あと一歩でバラク・オバマを相手にした選挙戦の状況をひっくり返すところだった。

「目に見えぬ米国人」という言葉自体は、ビル・クリントンによる「忘れられた中産階級」のコンセプトを真似たものだった。さらにビル・クリントンのコンセプトは、リチャード・ニクソンの「サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)」から来ている。偽ポピュリズム選挙キャンペーンは絶えずリサイクルされるため、虚偽の公約を最初に掲げた者まで遡るのはかなり困難だ。

2015〜2016年にかけてのトランプによる改革とは、電話を掛けて力ずくで流れを変えるトランプ流のやり方だった。自動車メーカーのフォードが国内工場をメキシコへ移転させようと計画した時は、「そんなことは私がさせない」とトランプ候補は断言した。

Translated by Smokva Tokyo

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