どうなる?米大統領選、金持ち優先主義のトランプの勝利はあるか?

エアフォースワンの機内で同行した記者団に身振り手振りで語るドナルド・トランプ米国大統領(2018年10月6日) Pablo Martinez Monsivais/AP/Shut

再選を目指し、出馬表明したトランプ米大統領。ついに「ビリオネア優先主義パートII」が開幕した。2020年米大統領選は、ポピュリストによる将来構想を巡る争いの様相がうかがえるが、過去の偽ポピュリズム選挙キャンペーン焼き直ししている、トランプ流の選挙術に勝機はあるのか? また、注目すべき民主党の候補者もピックアップ。

米大統領選への再出馬を表明したドナルド・トランプ。2つの調査結果の報道に注目が集まっている。ひとつはFOXニュースによる世論調査で、仮に1対1の勝負を挑んだ場合、トランプはジョー・バイデンとバーニー・サンダースに破れるだろう(ただし、他の民主党候補には勝利する)という結果。もうひとつは、トランプ政権内で行われた独自の内部調査のリーク情報で、トランプはバイデンとの直接対決で大きくリードされているという、記者を喜ばせる調査結果だった。

トランプが後に、自分が「十把一絡げのグループ(民主党候補者)」に遅れを取っていると主張しているのは「フェイクニュースによる世論調査だけ」だ、とツイートしたことで、リークされた内部調査の結果がなおさら滑稽に見える。

調査結果は別にして、トランプによる出馬表明で、彼が推進しようとする政策に既に注目が集まっている。2019年6月17日に公開した動画の中でトランプは、2016年に掲げたポピュリスト政策を再び持ち出した。現職の大統領が自国の政府に挑戦状を突きつけるのは、そうあることではない。しかしトランプはやってのけた。「我々は機能していない既成勢力に対抗し、国民の国民による国民のための政治を取り戻そうとしている。選挙に勝利したのは、あなた方国民なのだ」と彼は言う。我々は今後、彼によるさらなる言葉巧みな演説を耳にすることだろう。

前回の大統領選では、莫大な財産を相続したビリオネアの御曹司が一般有権者の代表として立候補し、勝利するという極端な大胆さが目立った。今回トランプがホワイトハウスから政治の素人として再び立候補し、勝利するようなことがあるのだろうか? ABCネットワークの特別番組で、エアフォースワンや海軍のヘリコプターで移動するのがどんなに凄いかを1時間にわたり自慢げに語るトランプに匹敵する詐欺師は、歴史を遡ってもエッフェル塔を2度売った男ぐらいしかいないだろう。

トランプがポピュリストのように振る舞うのは不思議なことでない。なぜなら前回はポピュリスト戦略が功を奏したからだ。興味深いのは、民主党候補者の多くも同様の戦略を採る準備をしているらしいこと。2016年の戦略からの離脱といえるだろう。前回選挙の争点は「経験と適性」対「チェンジと大改革」というテーマに絞られ、最終的には民主党が敗北することとなった。トランプが全てを蹴散らしながら突き進み、勝利したのだ。

Translated by Smokva Tokyo

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