スタンディングロック居留地で続く闘い ソーラーパワーに向けられる部族アクティビズム

2016年にスタンディングロック居留地で起きた抗議運動は、ネイティヴアメリカンが4年に渡り苦しめられてきたと主張する問題に対し、世界中の注目を集めた。(Photo by Jessica Rinaldi/The Boston Globe/Getty Images)

米ノースダコタ州で2016年に起きた石油パイプラインの建設に反対する歴史的な抗議運動から3年。アクティビストらは石油産出地に再生可能エネルギーを持ち込もうとしている。

ノースダコタ西部に多く見られるビュート(切り立った丘)のひとつに登ると、目の前には燃え上がるメタンの炎の景色が広がり、その下には1万2800カ所以上の稼働中の油井と隠されたパイプラインがある。ここノースダコタでのバッケン石油ブームは、米国が世界トップクラスの石油産出国の仲間入りをする後押しをした。

しかし、コーディ・ツー・ベアーズは全く異なる見解を持っている。「欧州人が初めてタートルアイランドに上陸した500年前、この土地の扱い方を心得ていた我々は、彼らに暮らし方を教えた」とツー・ベアーズは言う。ネイティヴアメリカンの多くは、北米大陸を“タートルアイランド”と呼ぶ。「今、世界は崩壊に向かっている。今こそ我々ネイティヴアメリカンが先人の知恵を駆使し、この国における持続可能な生き方を示すべき時だ」

スタンディングロック・インディアン居留地でダコタ・アクセス・パイプライン建設への反対運動が起きた2016年当時、ツー・ベアーズ(34)は、オセティ・サコウィン・キャンプの中心となったコミュニティのキャノンボールで部族の代表メンバーを務めていた。同キャンプは、数百のネイティヴアメリカンの部族が参加した歴史的集会で、2016年の後半まで続いた。翌2017年、彼はネイティヴアメリカンのコミュニティへの再生可能エネルギーの供給を目的とした、インディジェナイズド・エナジーという組織のアイデアを思い付く。ソーラーパワーを推進する多くのグループからの資金援助により、彼のビジョンが実現した。

そして2019年2月、スタンディングロックで初のプロジェクトが完了する。問題となっている石油パイプラインからわずか5キロ足らずの場所に、300kWのソーラーアレイ(太陽電池の集合体)を設置したのだ。同年7月より、同ソーラーアレイからの電力がキャノンボール・ユース・アクティビティ・センターとベテランズ・メモリアル・ビルディングに送られることになっている。同施設は2016年の抗議活動時、人々の宿泊や食事、シャワーの提供場所として利用された。

Translated by Smokva Tokyo

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