KISS最後の来日決定、史上最大規模のファイナルツアーを12月に開催

生ける伝説であると同時に、常に現在進行形であり続けてきたKISS
文:増田勇一

地獄からの使者、KISSのデビュー・アルバムがアメリカで発売されたのは1974年2月のこと。すでにそれから満45年以上もの年月が経過している。しかし永遠に続くバンドなど存在するはずもなく、KISSでさえもその例外ではない。2019年1月31日、カナダのヴァンクーヴァーで幕を開けた彼らの最新ツアーは『END OF THE ROAD WORLD TOUR』と銘打たれており、そこには『THE FIAL TOUR EVER』との言葉まで伴っている。いかにポジティヴに捉えようとしてみても、彼らのツアーの歴史がついに終焉に至るのだという意味以外には、解釈できようもない。

過去にも『FAREWELL TOUR』を実施しておきながら引退を撤回した過去のあるこのバンドではあるが、ジーン・シモンズ(vo,b)とポール・スタンレー(vo,g)という両巨頭の年齢などを考えてみても、今度は本当だと信じるしかない。ジーンは2019年8月25日には70歳の誕生日を迎えるが、彼はかつて、70歳でライヴ活動から身を引く意向を口にしている。また、ポールは去る1月20日で67歳になっている。まだまだ若いと思っていたエリック・シンガー(ds)ですら昨年還暦を迎えているし、最年少にあたるトミー・セイヤー(g)でも現在58歳だ。

このワールド・ツアーは全44公演に及ぶ北米での日程を経て、5月下旬から7月にかけてはその舞台をヨーロッパへと移して26公演を消化し、8月から9月にかけてはふたたび北米を巡演。そして11月にはオーストラリア/ニュージーランド・ツアーへと続いていく。そして2020年の到来を目前に控えた令和の師走、いよいよこのツアーが日本上陸を果たす。


Photo by Keith Leroux

KISSが日本初上陸を果たしたのは、1977年3月18日のことだ。トレードマークのメイクを施したままパンアメリカン機を降りた4人は、入国審査のため素顔になり、ふたたびメイクをした姿で、羽田空港の到着ロビーで待ち受けていた1,000人を超えるファンの前に登場したのだった。日本武道館での昼夜二回公演といった事態にまで至る大盛況となったこの初来日公演の模様は、NHKの『ヤングミュージックショー』でも放映され、このバンドの破天荒なライヴ・パフォーマンスはお茶の間にまで届き、それが多くの少年少女たちにとってのロック初体験の機会となった。

以降、1978年、1988年、1995年、1997年、2001年、2003年、2004年、2006年、2013年とコンスタントに来日公演を重ねてきたKISSは、2015年には通算11回目となるジャパン・ツアーを実施し、その千秋楽には2001年以来14年ぶりとなる東京ドーム公演も実現。そのステージでは、ももいろクローバーZとの共演という画期的な出来事も発生している。それから4年を経ての今回の来日は、あらかじめワールド・ツアーの意図が明らかであるだけに、これまでとは違った意味合いを感じずにはいられないし、ツアー活動終了宣言の撤回を期待することには無理があると言わざるを得ない。

確かにそこに、オリジナル・メンバーであるエース・フレーリー(g)とピーター・クリス(ds)は不在だが、過去すべての来日公演を振り返ってみれば、デビュー当時そのままの顔ぶれで行われた公演のほうが実は少なかったりすることにも気付かされる。そこで改めて評価されるべきは、KISSがKISSとしてパーフェクトなライヴ・パフォーマンスを体現するうえで、かつてはブルース・キューリックやエリック・カー(1991年11月24日、偶然にもフレディ・マーキュリーと同日に他界)、現在ではトミー・セイヤーやエリック・シンガーといった歴代メンバーたちが果たしてきた貢献の大きさだろう。ポールは「ジーンと俺がすべてを取り戻すことができたのも、トミーやエリックの献身があってこそ。彼らの存在があったからこそ現在まで前進し続けることができた」と語り、ジーンもまた「ふたたびオリジナル・ラインナップでリユニオンすることはない。それはこのバンドにとって終焉を意味する」とまで述べている。

生ける伝説であると同時に、常に現在進行形であり続けてきたKISS。彼らはいつでも彼らにしか体現することができない至上のロックン・ロール・サーカスを人々に提供し続けてきた。そんなKISSにとっての“ロードの歴史”が終着点へと近づきつつあるなか、彼らは所縁深いここ日本でどんなステージを披露してくれるのか? KISS史上最大級のステージ・セットを伴いながら展開されているこの『END OF THE ROAD WORLD TOUR』の日本上陸の瞬間を、心して待ちたいものである。それを見逃してしまうことは、二度と取り返しのつかない後悔に繋がるに違いない。

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※関連記事「ポール・スタンレー、KISS引退の理由を語る」





KISS END OF THE ROAD WORLD TOUR


【仙台】
12月8日(日)ゼビオアリーナ仙台
OPEN 17:00/START 18:00 

【東京】
12月11日(水)東京ドーム
OPEN 17:30/START 19:00 

【盛岡】
12月14日(土)盛岡タカヤアリーナ(盛岡市総合アリーナ)
OPEN 16:30/START 17:30

【大阪】
12月17日(火)京セラドーム大阪
OPEN 17:30/START 19:00  

【名古屋】
12月19日(木)
ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
OPEN 18:00/START 19:00

■チケット
SS席:¥25,000
S席:¥20,000
A席:¥15,000
(全席指定・税込) 

■一般発売
仙台:9月7日(土)
東京:7月20日(土)
盛岡:9月7日(土)
大阪:7月27日(土)
名古屋:後日発表

特設サイト:
https://endoftheroad.udo.jp

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