ゾンビ映画を作ったジム・ジャームッシュ、禁煙成功は『大菩薩峠』のおかげだと語る

ジム・ジャームッシュ監督、『ザ・デッド・ドント・ダイ』の撮影現場にて。(Photo by Abbot Genser/Focus Features)

ジム・ジャームッシュ監督の最新作『ザ・デッド・ドント・ダイ(原題)』がカンヌ国際映画祭でプレミア上映される数日前、監督にインタビューすることができた。ゾンビ映画を作った理由、イギー・ポップ出演の裏話、そして日本映画が禁煙にいかに役立ったかについて語ってくれた。

—まず、なぜゾンビ映画だったんでしょうか?

数年前、『パターソン』(2016年)と言う映画を作って、知ってると思うけど、そんなに軽い内容の映画でもなかった。で、次はすごくバカげたものを作りたくなった。『コーヒー&シガレッツ』(2003年)みたいな、笑えるやつをね。キャラクターの下地は、アニメのような感じでね。そんな映画のアイデアを思い浮かべていた時に、ゾンビ映画が面白いんじゃないか、って思って……。

—最初は短いシーンを集めた映画を考えていたとか。

そうだね。俺は元々、1人か2人のキャラクターを中心にして、一つの視点から物語が進んでいく方法を取っている。もしくは『ミステリー・トレイン』(1989年)や『コーヒー&シガレッツ』のように、短編の構造にしながらも、一つ一つが独立した話になるような形が多い。それらは複雑に絡み合っていくものだから、挑戦になるんだ。そこに特殊効果を入れるなんて……俺が作った映画の中で、一番難しかった。体力的にも大変だったよ。『デッドマン』(1995年)だって作品に殺されそうになったけど、あの時俺はまだ若かったからね。

ジャンルってただの枠組みなんだ——自分の思ったものは何でも盛り込むことができる。『デッドマン』は、典型的な西洋映画じゃない。ぶっ飛んでいて、少しサイケデリックな映画だ。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は——ラブストーリーだけど、それがヴァンパイアに起きてるって話。あれは俺流の、自分以外の人間の欠点も含めて、すべてを受け入れるお話なんだ。誰かをありのまま愛して、それを永遠に続けるって言うね。(少し考えて)まさに永遠、だよね! だって、彼らはヴァンパイアだから。でも俺は映画に関することで、ヒエラルキーは気にしないよ。どんな映画も大好きだからね。



—ゾンビ映画もですか?

(少し考えながら)ゾンビ映画に大きく惹かれていたかと聞かれれば、それは嘘になるって認めないといけないな。俺はそんなにTVも見ないし『ウォーキング・デッド』も見たことがない。それに、特にゾンビ映画が好きな訳でもないんだよね。

Translated by Leyna Shibuya

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