小学校乱射事件は陰謀だったと主張するトンデモ本編集者、敗訴

米サンディフック小学校乱射事件の被害者の父親(写真)が、事件は「偽旗作戦」だったとするインチキ本を出版した編集者を訴えていた裁判で勝訴。(Photo by Alex Wong/Getty Images)

2012年、米コネチカット州のサンディフック小学校で起きた乱射事件は実際には起きていなかったと主張する本の編集者を、被害者である児童の父親レオナルド・ポズナー氏が名誉棄損で訴えていた裁判で、原告が勝訴した。

ウィスコンシン州デイン郡巡回裁判所のフランク・レミントン判事は現地時間17日、『Nobody Died at Sandy Hook(原題)』の共同編集者ジェイムズ・フェッツァー被告とマイク・パレセック被告に略式判決を言い渡した。全400ページのこの本は、27名(このうち20名が生徒)の死者を出した小学校乱射事件は、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が銃規制促進のために行った演習、ポズナー氏は6歳の息子ノア君の死亡証明書を偽造したのだ、と虚偽の内容を主張していた。コネチカット州では死亡証明書の偽造は犯罪にあたる。

訴訟では死亡証明書の部分が争点となったが、ノア君はポズナー氏の息子ではないというフェッツァー被告がブログで展開していた説にも話題が及んだ。訴状には一部修正を入れた本物の死亡証明書のコピーが添付されていた上、さらにポズナー氏はノア君との血縁関係を証明するべく、独立機関の専門家を任命して死後のDNA鑑定を実施するよう裁判所に求めていた。

「サンディフック事件は実在しなかった、我々は全員サクラの役者で、私の息子は初めから存在していなかった、とフェッツァー氏が信じたいのであれば、彼には嘘を信じる権利があります」と、ポズナー氏はAP通信に語った。「ですが、そうした嘘が私の名誉に泥を塗り、傷つけるものだとしたら、それを世間に広める権利はありません。息子の写真や私の名前を宣伝道具にして寄付を募ったり、商品を売り込む権利はありません。私の家族をつるし上げろと他人をそそのかす権利もありません」

18日、ポズナー氏はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、今回の判決は「私自身や私の家族にとって(はもちろん)、このような連中の標的にされたすべての大量虐殺事件の被害者や遺族にとっての勝利です」と語った。

原告側の弁護士ジェイク・ジマーマン氏はNPRの取材に対し、依頼人が名誉棄損訴訟に打って出たのは、あくまでも「最後の手段」だったと述べた。「ポズナー氏は何年も、自分の息子が実在していたこと、本当に命を落としたことを、こうした陰謀論者にどうすれば理解してもらえるか模索していました」

Translated by Akiko Kato

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