HYDEが語る「残された時間」と「最後の挑戦」



開拓せずにはときめきは得られない

ー改めてツアーの話題もしましょうか。ちょうど3月末からアジアツアーが始まり、5月にはアメリカツアー、6月からは日本国内を回ります。以前VAMPS時代にお話を聞いたとき、とにかくライブをやりたいとおっしゃっていたのが印象に残っていて。その気持ちは今も変わっていませんか?

HYDE CDというコンテンツがなくなりつつある昨今、ライブだけは生きていますよね。アメリカでもレコード屋はなくなっても楽器屋はなくならないし。やっぱり、みんな音楽が好きなんですよ。ライブはダウンロードではなかなか伝わらないし、そこは残された音楽の表現する大切な場所なんじゃないですかね。実際、そこで真価が問われるわけだし。アルバムは作り込めば誰でもある程度まではできると思うけど、ライブではその人と成りがバレてしまう。僕らも次のアメリカツアーではイン・ディス・モーメントのサポートに付くけど、本当にアマチュアバンドみたいなものですから。メインアクトがセッティングした機材の前に僕らの機材をセッティングするわけで、しかもお客さんはメインアクトを観に来る人がほとんどだから、興味がない人たちにアピールするわけですよね。そこで一番真価が問われるし、いかにカッコいいショーができるかだから。僕も最初の頃、モトリー・クルーのニッキー・シックスがやっているシックス:エイ・エムと一緒にアメリカを回ったときは怖かったですもん。

ーHYDEさんでも怖く感じるものなんですか?

HYDE もちろん。たぶんビビってたんでしょうね、普段よりも痛々しいライブをしていたと思うし、感情を外に出すのではなく内に入っていくような感じでした。でも、そういったツアーを繰り返すことで自分なりに「そうじゃない」と気がついたこともあったので、たぶん次はうまくできると思います。今度のアメリカツアーで一緒に回るイン・ディス・モーメントとはVAMPSのときにも一緒にライブしているけど、今度はHYDEとしてライブをするわけで、以前を知っている現地の人からすれば「VAMPSではないんでしょ? じゃあレベルダウンだよね」と思うわけですよ。だからこそ、そういうところからもう一度再スタートするわけで、またチャンスを掴んでいかないといけないですよね。

ー海外ではいわば新人なわけですものね。かたや、国内ではHYDEさんの名前はロックファンの間で知らない人はいないわけで。そういったメジャーな存在ならば、例えばZeppクラスの会場での“籠城型”ライブではなく、大箱でライブをして回数を減らすこともできると思うんです。なぜそうせず、30本前後ものツアーを続けるんでしょう?

HYDE 理想を追い求めてるんだろうけど、ライブハウスでやってる映像が好きなんですよね。もっとカッコよくなりたいと思って繰り返してるんだろうな。アメリカの壁を壊したアーティストになりたいというのも。それは海外で人気者になりたいとかそういうことだけではなく、そこを目指さないとやりがいがないというか。ただ日本で音楽を作ってCDを出してライブをして、それを繰り返すことにときめきを感じなくなっているのかもしれない。

ーときめき、ですか?

HYDE どこか開拓心というか……日本で開拓しようと思ったら、ヒットチャートを狙うとかですかね?もっと売れ線の曲を作ったり違う方向に進まないと難しいですよね? でも、今の僕にはそれは興味ないしHYDEって固定概念があるから何をしても冷静な評価がないんじゃないかと思うんです。それがアーティストとしてつまらないな~って感じてます。

ーそれは最初に話したタイムリミットもあるから?

HYDE はい。だから、僕の夢としてそういった開拓をやらずには、ときめきが得られないんですよ。なので、海外ではアマチュアバンドみたいなことをしながら、少しずつ夢に近づいていこうと。もちろん、今回のアルバムでどこまでいけるかわからないですよ。あと2、3枚出して何も起こらなかったら、アメリカ進出はもうやめようと思いますし。

ー結果は1枚だけでは見えにくいものがありますし、むしろその次に1枚目の成果が見えてくるわけですから。海外ではそういうケースが多いですよね。

HYDE 僕もそう思います。なので、この次のアルバムがいわゆる核になると思うし、いかにもというものを散りばめて、どこまでチャートアクションを狙えるか。2020年に次のアルバムが出るとして、それまでに今回のアルバムでどこまでいけるかですよ。それまではアメリカのロックファンを攻撃し続けたいですね。

ーなるほど。では、年齢というところではいかがでしょう? 今やっているような激しい音楽をこの先どこまで続けられるのかも重要になると思いますし、その一方で静かな方向性を強めた見せ方、聴かせ方もあるわけで。現在はそこに関してはうまくバランスを取りながら活動していると思いますが、いわゆるタイムリミットが過ぎた後、HYDEさんの中でどういう音楽活動、どういう音楽人生を考えていますか?

HYDE 日本の売れ線を狙います(笑)。まあそれは冗談ですけど、好きなことをやって、好きな音楽を作ってファンとともに暮らします。そういう方向で、キャパを広げるのではなく小さなところで好きなことをやって、芸術性を高める作業ができたら最高ですよね。

ーそのためにも、ここから数年の活動が重要になってくると。そういった意味では、今度のアルバムは本当に楽しみです。

HYDE これまでで一番ヤンチャなアルバムになっていると思いますよ(笑)。楽しみにしていてください。





『ANTI』
HYDE
Universal Music
発売中

HYDE
1994年7月にL’Arc-en-Cielのメンバーとしてメジャーデビューを果たし、数々のヒット曲を生み出す。2001年に初のソロ活動をスタート。L’Arc-en-Cielとは異なる独特の世界観を提示した。2008年には、ロックユニットVAMPSを始動。日本のみならず、ワールドワイドにライブ活動を展開。2017年12月にVAMPSの活動休止を発表し、2018年6月にソロとしては12年半ぶりのシングル「WHO’S GONNA SAVE US」をリリースし、同月よりライブハウスツアーを行う。その後、8月に「AFTER LIGHT」、10月に「FAKE DIVINE」、2019年2月に「ZIPANG」、3月に「MAD QUALIA」と積極的な新曲シングルリリースを続けている。6月に13年ぶりとなる通算4作目のオリジナルアルバム『ANTI』をリリースした。
https://www.hyde.com/

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