Tempalayが語る「間奏」という概念が生まれた背景、陶酔と響きの探求

Tempalay(Photo by Nariko Nakamura)

平成が終わり、新時代の幕開けとともにリリースされたTempalayのニュー・アルバム『21世紀より愛をこめて』が素晴らしい。BTS(防弾少年団)がSNSで取り上げ話題となった、昨年のミニ・アルバム『なんて素晴らしき世界』を挟み、前作『from Japan 2』から2年ぶりフルアルバムとなる本作は、摩訶不思議なコード進行ととびきりポップなメロディ、おどろおどろしくも美しいバンド・アンサンブルが融合した「Tempalay印」ともいうべき唯一無二のサイケデリアが、全編にわたって展開している。

昨年7月、それまでサポート・メンバーだったAAAMYYY(Syn、Ch)が正式加入し、3人組の新体制による初のレコーディングとなった本作は、これまで以上にリズムが強化され、ヒップホップやネオソウル、ファンクなど主にブラックミュージックのエッセンスを取り込んだ強靭なグルーヴは、ライブでより威力を発揮しそうだ。

先日は藤本夏樹(Dr)が、水墨画アーティストCHiNPANとの間に第1子となる女児が生まれたことを発表。それにインスパイアされた小原綾斗(Vo、Gt)がすぐさま名曲「そなちね」を書き上げるなど、公私ともに充実した日々を送る3人。もうすぐ始まるツアーを前に、アルバム制作秘話やライブへの意気込みなどたっぷりと聞いた。



─『21世紀より愛をこめて』は、未来に向けてのメッセージ、いわゆる「タイムカプセル」みたいだと思ったのですが、こういうテーマはどこから思いついたのでしょうか。

小原:昔、「Voyager Golden Record」(ボイジャーのゴールデン・レコード)が話題になったじゃないですか。波の音や動物の声、様々な国の音楽など地球の情報をレコーディングして宇宙に飛ばし、いつか宇宙人が見つけた時に「地球にはこういう文化があるんだよ」って知ってもらうためのレコード……半分冗談みたいな、でもすごくロマンティックな計画がかつてあったことにインスピレーションを受けました。

今おっしゃったように、タイムカプセルのようなものですね。21世紀が終わった後、僕らの子孫がこのアルバムを見つけ、再生した瞬間この時代の匂いを少しでも感じてもらえたらいいなって。「何か、残さないといけない」という思いもありました。長い歴史の中で見れば、本当に大したことのない存在ではあるのですが。

─「残さないといけない」みたいに思ったのは、やはり元号が「令和」に変わったというのは大きい?

小原:別に、何かしらの「責任感」があったわけでもないんですけど。まあ、備忘録みたいなものですよね。

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